タカタのエアバッグ問題。リコール費用2.7兆円に!?まず監査は通過できるか

純資産は1450億円、法的整理の可能性も否定できず

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 タカタ製エアバッグの不具合問題で、リコール(回収・無償修理)費用が最大2兆7000億円になる可能性が浮上している。自動車メーカー幹部は以前から費用の総額が「3兆円になる可能性がある」との認識を示しており、すでに織り込んでいたようだ。タカタは今後、車メーカーとリコール費用の負担割合を協議する見込みだが、巨額負担の可能性を見据えた交渉は難航しそうだ。

 米通信社ブルームバーグが3月30日に関係者の話として報じた。報道によると、タカタは3月半ばに車メーカーと会合し、エアバッグを膨らませるガス発生剤に「硝酸アンモニウム」を使ったすべてのインフレーター(ガス発生装置)がリコール対象となった場合、費用は2兆7000億円になるとの試算を伝えた。

 試算はタカタが全額負担したと仮定した場合で、インフレーターの対象は2億8753万個と具体的な数字だったという。

 これに対しタカタは3月31日、試算を実施した事実はないとして報道を否定した。一方、車メーカー幹部は報道を受け、情報源がタカタだったかは定かではないが、費用の総額が「3兆円になるだろうとの話は以前から聞いていた」と述べた。

第三者が調査


 タカタは2015年11月、不具合の可能性が指摘される乾燥剤が入っていない硝酸アンモニウムを採用したインフレーターについて、18年末までに製造販売を中止することで米当局と合意した。

 ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は乾燥剤なしのインフレーターが1億1500万個あり、そのうち約6300万個がすでにリコールされていると推定。乾燥剤なしのインフレーターをすべてリコールしたと仮定した場合の費用は1兆円に達すると試算する。

 一連のリコールを巡る問題は根本的な不具合原因が分かっていないため、タカタ、ホンダ、車メーカー10社の連合がそれぞれ第三者機関に調査を委託。そのうちタカタと車メーカー10社の原因調査はすでに中間報告が行われた。ホンダの八郷隆弘社長は3月17日、同社が独自に委託する調査について完全な原因究明ができるかも含め「2、3カ月以内には何らかの結果を聞くことになっている」と述べている。

原因究明は難航


 ホンダは原因が分かり次第、タカタと費用負担の割合を協議する意向で、調査の行方が注目される。ただ別の車メーカー幹部は「完全な原因究明は難しいのではないか」とし、その場合は負担割合の落としどころを探ることになるとの見方を示した。兆円単位の費用負担の可能性が指摘されるなか、タカタや車メーカーは難しい判断が求められそうだ。

日刊工業新聞2016年4月4日 自動車面

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

タカタの純資産は1450億円程度に過ぎず、また、製品保証引当金も640億円しか建てちおらず、2.7兆円の潜在債務には到底耐えられない。自動車メーカーとの損失負担割合次第ではあるが、いずれ金融機関を巻き込んだ私的整理か、法的整理の必要性に迫られる可能性は否定できない。取り敢えずは、事態が深刻化した場合に、監査法人による3月本決算の監査を無事通過出来るかどうか。

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