「クロストレック」「インプレッサ」で最高評価、スバルが実現する安全性能の全容
SUBARU(スバル)のスポーツ多目的車(SUV)「クロストレック」と小型車「インプレッサ」が国の安全性能評価で最高評価の「ファイブスター大賞」を受賞した。予防安全、衝突安全の総合評価で最高得点を獲得した。独自の安全思想は国内外からの評価に結び付いており、同社が掲げる「2030年死亡交通事故ゼロ」実現につなげる。
「名誉ある賞をいただき大変光栄に思う」。スバル商品事業本部の只木克郎プロジェクトゼネラルマネージャーはこう喜ぶ。国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が実施した2023年度の自動車アセスメントで、クロストレック/インプレッサは予防安全、衝突安全、事故自動緊急通報装置の各項目で満点か、満点に近い評価を得た。
「安心と愉(たの)しさ」というスバルらしさを盛り込んだクロストレックとインプレッサは、デザインや走りの性能を訴求するとともに、安全に力を注いでいる。
スバルは独自の「総合安全」を掲げる。視界の良さなどの「0次安全」、ブレーキや危険回避性能などの「走行安全」、運転支援システム「アイサイト」に代表される「予防安全」、いざという時に乗員を保護する「衝突安全」、緊急事故通報などの「つながる安全」。これら五つの安全が連携し、各領域で機能を強化している。
クロストレックとインプレッサでは0次安全として、ピラーの死角を極力減らし良好な視界を確保。「アレイ式アダプティブドライビングビーム(ADB)」などを採用して夜間や降雨・降雪時でも視認性を高めた。
交通事故のうち対歩行者では右左折時の内側からの飛び出しが多く、対自転車では自車よりも自転車の方が速いケースで事故が多い。一方、交差点では運転手が多くのタスクを同時に行う必要があり、限られた視野では見落としも発生しやすい。予防安全としてアイサイトの標準搭載のほか広角単眼カメラを新規追加し、「人よりも早く対象物を認識しブレーキをかけることができる」(技術本部)。
最後の「とりで」である衝突安全では、乗員を守るとともに衝突相手も守るという思想で開発を推進している。クラッシュゾーンとキャビンゾーンにエリア分けし高強度材を効果的に配置。独自の「スバルグローバルプラットフォーム」で衝突エネルギーを効果的に吸収し、バンパービームの拡幅やサブフレームにより相手車両への加害性を低減した。歩行者保護エアバッグも標準装備する。
スバルの安全思想には前身である中島飛行機の航空機開発のDNAが息づいている。さらに最新技術を取り込むべく、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と次世代アイサイトについて協業を始めた。只木プロジェクトゼネラルマネージャーは「笑顔をつくる会社を目指し、安全に力を入れてきた。死亡交通事故ゼロを1日でも早く実現するため、まい進したい」と力を込める。
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