デンソーが公開、房取りミニトマト全自動収穫ロボットに搭載した技術
デンソーは19日、三重県いなべ市の施設園芸で、5月に欧州で受注を始めた房取りミニトマト全自動収穫ロボット「アーテミー」を公開した。障害物検知センサー(ライダー)やカメラ、ロボットアームなど自動車部品の製造で培った技術を搭載し、ミニトマトを全自動で一房まるごと収穫する。自動で収穫レーンの変更や収穫箱の交換も可能で、気候変動や就労人口が不足する食農分野の課題解決を支援する。
デンソーが49%出資する施設園芸「アグリッド」で、熟したトマトをアーテミーが自動で収穫、レーンチェンジ、収穫箱を交換するなど一連の流れを披露した。人手による収穫量は1時間当たり90キログラム。環境によって差異はあるが、アーテミーでは3分の1の同30キログラムを収穫できる。
一見すると非効率のようだが、アーテミーは20時間以上の運用が可能。画像認識の人工知能(AI)により収穫するトマトの成熟度のバラつきも低減でき、現状比約4割の省人化効果が見込める。
デンソーは農業などの非車載事業を成長領域に位置付けている。農業向けには高性能なスマート農業ハウスとその中で動作する機器やシステムをパッケージで提供する方針。
横尾英博経営役員は「農食の課題に、これまで培ってきたクルマやモノづくりの技術を活用し、食の安定供給に貢献する」と同事業の成長性に期待した。
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日刊工業新聞 2024年06月20日