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融和へシャープ経営陣の刷新は不可欠。高橋社長の後任は鴻海側から!?

「必要なリーダーシップを提供して立て直す」(郭会長)
融和へシャープ経営陣の刷新は不可欠。高橋社長の後任は鴻海側から!?

鴻海の郭会長とシャープの高橋社長

 2日に買収契約を結んだ台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業とシャープ。この1カ月間は、鴻海側の怒濤の攻勢と、条件変更にシャープ社内も混乱した。両社の信頼関係醸成は当然だが、シャープ内の融和を早期に図る必要がある。

 「鴻海は本当にスピードが速い」(シャープ社員)。鴻海はシャープの偶発債務の精査を2月下旬に始めたが、同じタイミングで技術担当者をシャープの国内工場にそれぞれ派遣し、保有設備などの状況も確認した。

 技術開発の中核施設がある天理工場(奈良県天理市)では、現在進行中の研究テーマを説明する技術展示会を急ぎ開くよう促され、現場が混乱した。1テーマ10ー15分でヒアリングし、矢継ぎ早の質問を飛ばした。

 鴻海はアップルのスマートフォン向けパネルの受注を目的にシャープ買収を決めたが、そのほかにオフィス機器やIoT家電などにも興味を示している。

 独自技術を持つメーカーと、世界最大のEMSの協業に対する市場の注目度は高い。ただ主力行に促されるまで鴻海との対話を拒でいた幹部も多い。

 対案だった政府系ファンドの産業革新機構からの買収案を支持したシャープ幹部は最終契約のもたつきに、「(鴻海に)決めた取締役は責任をとれ」と怒り心頭だった。シナジー創出には経営体制の刷新が求められる。

 ただでさえ文化の異なる企業の融和は難しい。過去3年間、自力復活のチャンスをつぶし続けてきたシャープ現経営陣が求心力を回復するのは難しい。社員の心を素早く切り替えるためにも、早々にけじめをつけるべきだ。

 これに対し鴻海の郭台銘会長は「必要なリーダーシップを提供して立て直す」(郭会長)方針だ。

 2日の会見でシャープの次期経営陣については「まだ決まっていない」と明言を避けたが、鴻海ナンバー2の戴正呉副総裁や、両社共同出資の堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)の日本人幹部などが指名される見通し。4月末までに示す。

 シャープの高橋興三社長は経営悪化の責任をとって退任する方向だ。後任社長について鴻海幹部は「郭会長は日本人にこだわっていない」と、外国人の可能性も示唆した。
日刊工業新聞2016年3月31日付の記事を加筆修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
鴻海版のゴーンが来るか。一気にドラスチックに動かすならトップは戴正呉副総裁か。

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