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劇場上映×体験型に注力…ソニーグループ、エンタメ強化で一手

米映画館運営を買収

ソニーグループは米映画館チェーン運営大手のアラモ・ドラフトハウス・シネマ(テキサス州)を買収した。買収額は非公表。アラモは北米で7番目に大きい映画館チェーンであり、全米25都市で35館を運営し、年間1000万人が訪れるという。映画製作・配信と映画館運営をともに手がけることで、グループのエンターテインメント事業の拡大を狙う。

ソニーGの映像メディア事業会社である米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が買収した。アラモは1997年に創業。食事をしながら映画を鑑賞できる「ダイニング・シネマ」のチェーンとして事業を拡大してきた。

しかし、コロナ禍で業績が大幅に悪化し、21年3月に連邦破産法第11条の適用を申請したが、短期間で経営を再建した。また、コア会員が400万人と熱心な観客層がいることで知られている。23年の興行収入は前年比で30%増えており、業界全体を上回ったという。

アラモはSPEの新部門「ソニー・ピクチャーズ・エクスペリエンス」の傘下に入り、劇場上映と体験型エンタメを強化する。アラモのマイケル・クスターマン最高経営責任者(CEO)は引き続き同社を率いるとともに新部門も指揮する。

SPEは1月にシカゴで新たに映画コンテンツなどを用いた体験型アトラクション施設「ワンダーバース」を開設した。5月の投資家向け説明会でも、自宅以外の場所で利用者がエンタメを楽しむことのできる「ロケーション・ベース・エンターテインメント」の取り組みの強化を表明しており、自社の知的財産(IP)との相乗効果を狙っている。

SPEのラヴィ・アフジャ社長は「当社は楽しく独特な方法で家の外にいるエンタメファンを魅了することに強い信念を持つ。アラモの差別化された映画鑑賞体験やブランド、熱心なコミュニティーは、このビジョンに合っている」とコメントした。


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日刊工業新聞 2024年06月14日

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