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「水素エネルギー市場をもっと知るために」―日本ファインセラミックス協会が動く

事業化調査で会員の参入促す。貯蔵システムや航空機向けの用途開拓へ
「水素エネルギー市場をもっと知るために」―日本ファインセラミックス協会が動く

燃料電池車への水素の充填風景

 日本ファインセラミックス協会は、会員企業などに水素エネルギーを利活用する水素社会へ参入を促すため、5月から事業化調査と標準化の検討を始める。事業化では再生可能エネルギーで発電した電力を水素として貯蔵する設備などを対象に、耐熱性などに優れる高級素材「ファインセラミックス」の調査を進める。素材メーカー各社や東芝九州大学が参加する委員会も開く。燃料電池車以外にも多様な広がりをみせる水素エネルギー市場を取り込む。

 事業化調査は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「エネルギー・環境新技術先導プログラム」に採択された。水素圧縮用のコンプレッサー部品について市場規模や要求される品質などを分析する。高温高圧下では水素と反応して劣化する金属が多い中、アルミナなどファインセラミックスが有用視されている。一方、標準化では5月に特別委員会を設置して話し合う。委員会には東芝や川崎重工業といったユーザー企業が参加し、情報共有する。米国やドイツの動向なども調べる。

 太陽光発電は、天候次第で出力が変わる課題がある。太陽光発電由来の電力が余剰となった際、その電力で水から水素を製造して貯蓄するシステムの普及が期待される。

 これまで日本のファインセラミックス産業は、スマートフォンなどの小型・精密な電子部品用途を得意としてきた。一方、大型の構造部材用途では軍需や航空機産業で発展してきた欧米に先行されている。同協会は水素社会の実現に関連し、このような構造部材用途の育成も目指す。
日刊工業新聞2015年04月27日 2面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
燃料電池車の普及など水素社会の実現に向けて、インフラ整備が進みつつある。そのインフラを支える最適な素材の選定も進んでいる。いままで価格面でネックだった高付加価値素材にもビジネスチャンスが訪れている。

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