「全固体電池」に新技術、マクセルが作動上限温度150℃に
マクセルは全固体電池が作動する上限温度を、同社従来品の125度Cから150度Cに引き上げる技術を開発した。高温下でも使えるようにすることで、電池の交換に要する工数の削減につなげるほか、幅広い用途での全固体電池の活用を提案する。電極の材料や配合などの電極設計を見直して実現した。今後、同技術を応用した製品の開発を進め、ラインアップの充実を図る。
具体的には、150度Cの高温下で充放電を繰り返すサイクル試験において、放電電圧が1ボルトに低下するまでのサイクル数を従来品「PSB401010H」と比べて約5倍に向上できた。全固体電池の劣化メカニズム解析を通じて、正極活物質と固体電解質との界面での副反応が、高温における劣化の主要因と分析し、対応した。
マクセルは2023年6月にPSB401010Hの量産を始めた。ただ、医療向け滅菌工程や半導体製造工程、車載用途といった高温環境下でのセンシングや監視が必要な領域での全固体電池の使用を希望する顧客からの要望があった。無線給電や環境発電(エナジーハーベスティング)などの技術と全固体電池を組み合わせたモジュール製品の開発も検討する。
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日刊工業新聞 2024年06月04日