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「ペロブスカイト太陽電池」耐久性向上に貢献、貼合技術で市場を狙う

「ペロブスカイト太陽電池」素材を追う #04 貼合加工
「ペロブスカイト太陽電池」耐久性向上に貢献、貼合技術で市場を狙う

京都大学のCOIで試作したフィルム型ペロブスカイト太陽電池(フジプレアム提供)

次世代太陽電池の本命と期待される「ペロブスカイト太陽電池」の性能は構成する素材やそれを扱う技術の力も左右する。ペロブスカイト太陽電池をめぐる素材と関連技術の動向を追う。

ペロブスカイト太陽電池における耐久性の向上には、封止材やバリアフィルムの性能はもちろん、封止材を介してバリアフィルムやガラスをバックシートなどに精密に貼り合わせる技術も重要になる。フジプレアムはこの貼合技術を強みにペロブスカイト太陽電池の市場を狙う。基板に発電層を成膜した後の封止などの加工の受託や、関連装置の供給を目指す。

フジプレアムは90年代から貼合加工を手がける。携帯電話端末のディスプレイに偏光板を貼り合わせる事業から始めた。当初は市販の装置で加工していたが、大型の加工需要に対応できるように97年に自社装置を開発した。阪神淡路大震災を契機に需要が増えた、建材ガラスに飛散防止フィルムを貼り合わせる加工などを担ってきた。

その後、気泡が入らないように、±10㎛(マイクロメートル、マイクロは100万分の1)レベルで位置を調整しながら2枚のガラスを貼り合わせたり、三次元の曲面にフィルムを貼ったりできる技術やノウハウを自社の装置に蓄積してきた。現在は車載のディスプレイ製品の加工を中心に受託しているほか、シリコン太陽電池のモジュール製造も手がける。

ペロブスカイト太陽電池をめぐっては、文部科学省の支援の下で産学連携によりイノベーションを目指す京都大学のCOI(センター・オブ・イノベーションプログラム/活動期間:13-21年度)に参加し、エネコートテクノロジーズなどと共同でフィルム型を試作した。現在は国内外の完成品メーカーや材料メーカー、研究機関と情報共有しながら、事業化を模索している。同社事業創出本部の池田智宏先端技術開発室長は「貼合の技術と共に(COIの試作を通して)封止材料に関する知見も得られた。(それらを武器に)封止や配線の受託加工のほか、製造装置や製造ラインの供給などの事業化を目指す」と意気込む。

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