販管費が利益率左右、鍛圧機械4社・通期見通しの全容
プレス機械や板金機械を手がける鍛圧機械4社は、2025年3月期連結業績で3社が増収を見込む。人手不足や脱炭素を背景に底堅い需要が見込まれる中、足元で積み上がる受注残が売上高を下支えする。受注残には利益率の高い商品も多く、製品ミックスの改善も収益を押し上げると見る。一方、人件費や輸送費といった販売管理費の上昇を補えるかが、各社の利益率を左右しそうだ。
アマダは受注高が24年1―3月期に7四半期ぶりに増加に転じ、25年3月期は前期比4・9%増の4000億円を予想する。山梨貴昭社長は日米欧などで顧客の自動化投資意欲は高いと認識した上で、「特に北米は活況でグリーンエネルギーや農業関連で好調さが続く」と見る。
アイダエンジニアリングは25年3月期の受注高を同1・4%減の780億円とほぼ横ばいを予想する。売上高は受注残として積み上がる高速や汎用プレス機の出荷が進む。営業利益では前期までに日本や米州で大型の低採算案件が減少するなど、「製品ミックスの改善による増益を見込む」(鵜川裕光取締役常務執行役員)。
アマダも25年3月期に豊富な受注残の消化や、収益性の高い新商品の販売比率拡大などにより、3期連続で売上高、営業利益、当期利益で過去最高を予想。コマツ産機(金沢市)は大型プレス機の販売が増えた前期に続き、2期連続で2ケタを超える増収を見込む。
一方、日立造船は25年3月期にプレス事業で減収営業減益を予想。コスト増の価格転嫁や電気自動車(EV)シフトへの対応を課題に掲げる。
日本鍛圧機械工業会(日鍛工)は25年3月期の鍛圧機械の受注高を同1・5%増の3700億円と予想。「24年の後半は半導体需要の回復と国内外でのEV化への投資が期待できる」(事務局)と見る。
一方、EVでは気になる動きもある。アイダエンジはEVモーターコア向けを中心とする高速プレス機の受注が、24年3月期に同20・9%減の240億円に減少し、25年3月期も同16・9%減の200億円を見込む。
鈴木利彦社長は23年3月期に駆け込み需要があった中国の高速プレス機の受注状況を「バブルかなと考えており、通常の数字に戻った後も下がり続けるかどうかは今後の我々の先行投資にも影響してくる」と動向を注視する。
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