医療機器大手、成長戦略を診る《日立製作所#01》ここでも“総合”

サービスに重点。分散している事業を一体化しグローバル展開へ

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機器売りからサービス事業に軸足を移す
 医療機器メーカーが世界市場で躍進するため事業基盤の強化に相次ぎ乗り出している。日立製作所がグループで事業を再編するほか、キヤノンは画像診断装置大手の東芝メディカルシステムズの買収を決めた。国内首位のオリンパス、2位のテルモも次の成長に向け事業体制を改革する。医療機器市場はグローバルで急拡大する期待の分野だが、競争も激しい。国内メーカーはどこに成長の道を切り開いていくのか。各社の戦略を探る。

  日立製作所は2018年度にヘルスケア事業で売上高6000億円を目指す。日立は診断・臨床、検査・試薬、インフォマティクス(サービス・プラットフォーム)の3分野を柱に事業を展開しており、14年度の売上高は3379億円。18年度には事業の営業利益率を現在の5・7%から10%に高め、海外売上高比率も62%から67%に引き上げる。

 主力の画像診断機器に加え関連サービスも充実し、医療機関に対し機器やソリューションを自社で一括提供する体制を整える。もちろん既存事業だけで業績を伸ばすことは難しい。規模拡大に向けて「M&A(合併・買収)も積極的に検討していく」(渡部眞也日立製作所ヘルスケア社社長)。

 4月には子会社の日立メディコ(東京都千代田区)と日立アロカメディカル(同三鷹市)の営業・企画部門などを日立本体が統合し、グループ一体経営体制を整えた。生産効率を高めて機器の低コスト化を推進し国際競争力を高めるほか、経営を一体化することで医療機関への提案力を高めていくのが狙いだ。

 日立は磁気共鳴断層撮影装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)、超音波画像診断装置といった診断機器のほか、粒子線がん治療装置、医療IT関連サービスなどビジネスは多岐にわたる。

 中小規模の専業メーカーがひしめく医療機器分野で日立の総合力は国内トップだが、一方で事業分散の課題もあった。超音波画像診断装置や粒子線がん治療装置は世界シェア首位、MRIも世界トップ3を狙える立場にあるが、グローバル競争に打ち勝つには事業の一体化が不可欠だ。

 医療を取り巻く環境は大きく変化する。病院の機能分化が進み、病院間連携や地域医療連携、在宅医療の充実が求められる。超高齢社会では生活習慣病や複数の疾患を抱える患者が増加。「疾病ごとにクリニックと病院で使用する機器が変わるため、ソリューションを幅広く提案していかなければならない」(山本章雄日立メディコ社長)。

 医療機関は経営効率を高めるために機器やサービスを一括導入するケースも増える。高額な画像診断装置を導入する病院数が減少していく一方、症例数は増加する。従来の単なる機器売りだけではビジネスの成長は見込めない。
 
 そこで日立は社内カンパニーのヘルスケア社、情報・通信システム社、日立ハイテクノロジーズなどが手がけるヘルスケア事業を融合し、病気の予防から検査、診断、予後といった各ステージで新たなサービスを創出していく。サービス売上高比率も18年度に現在の23%から30%以上に高め、オール日立でヘルスケア市場に挑む。

COMMENT

さまざまな事業分野でライバル関係にあった東芝がヘルスケア事業から事実上撤退したため、日立は国内では比類なき総合医療機器メーカーになった。今後は高額な診断装置や大量使用する器材・消耗品を一括購買することでコスト削減を図る医療機関も増え、日立の総合提案力は大きなアドバンテージになる。 (日刊工業新聞社編集局第二産業部・(宮川康祐)

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