群馬県、かつての地場産業“航空宇宙”の復活なるか

他県の課題踏まえた支援で「周回遅れ」から巻き返し図る

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設立総会に出席した群馬県の高橋産業経済部長
 群馬県が航空宇宙分野の産業振興を本格展開する。県内企業の新規参入や販路拡大を支援する組織「ぐんま航空宇宙産業振興協議会」を設立。県内企業の高度な技術力と成長分野を結びつけ、県内経済の活性化を目指す。群馬県は戦前に世界有数の航空機メーカーとなった中島飛行機の一大拠点が置かれた地。70年以上の時を経て“かつての地場産業”の振興に取り組む。

 「成長産業として航空宇宙産業に焦点をあて、全力で応援していく」―。群馬県産業経済部の高橋厚部長は、17日に行われた設立総会でこう力を込めた。総会には企業や研究機関、金融関係者など約100人が参加。参入や事業拡大に意欲を示す企業が多数集まり、関心の高さがうかがえた。

 協議会では今後、最新の技術動向に関するセミナーや技術研修を開催。航空宇宙産業の品質マネジメント規格「JISQ9100」、特殊工程認証「Nadcap」の取得支援も実施する。さらに販路開拓支援として10月に東京ビッグサイトで開かれる国際航空宇宙展への共同出展やビジネスマッチングなどを行う予定だ。

 群馬県には航空宇宙産業の素地がある。富士重工業の源流である中島飛行機の歴史に加え、IHIエアロスペース富岡事業所(富岡市)、ミネベア松井田工場(安中市)、明星電気(伊勢崎市)など関連企業の拠点が現存する。中堅・中小企業でも、航空宇宙分野を手がける企業が多く存在する。

 参入意欲のある中小企業にとっては、参入障壁が高いとされる航空宇宙分野で県が支援に乗り出す意義は大きいと言える。だが、行政による産業振興という点では、すでに全国的に行われており、群馬県が設立した協議会のような団体・組織は多く存在する。他県が先行しており“周回遅れ”という現実がある。

 高橋部長は「群馬県には優れた技術開発力と基盤技術がある。他県に負けることなく、県内企業が活躍できる」と強調。また、県では後発の利を生かし、先行する他県の課題を踏まえ、効率的な支援施策を展開する考えだ。業界に精通したコーディネーターを確保するなどして先行勢を追いかける。

 群馬県は羽を広げた鶴のような形をしている。この産業振興を成長の翼にして、県経済を飛躍させられるか。協議会発足は一歩を踏み出したに過ぎない。成果創出に向けた取り組みが求められる。
(文=群馬支局長・大友裕登)

日刊工業新聞2016年3月31日 中小企業・地域経済面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

“昔取った杵柄”というのは、モノづくりと地域の関係にも当てはまる気がします。製造拠点の海外立地で国民性の違いが課題になるように、県民性という見方をしても、重厚長大が得意か軽薄短小が得意かは地域性が出てくる。その意味で群馬も、航空宇宙分野に対するポテンシャルは維持しているのではないでしょうか。追い上げはスバルのターボ並みにすごいかもしれません。

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