トヨタ「水素エンジン車」進化…楕円形タンク開発、搭載量1.5倍
トヨタ自動車は液体水素の搭載量を従来比1・5倍に高めた楕円(だえん)形タンクを開発した。水素エンジン車の改良の一環。タンクはこれまで高い圧力を均等に分散できる円筒形だったが、安全性を担保しながら車内スペースを効率良く使えるよう異形化した。航続距離は約135キロメートル。このほか液体水素をエンジンに送るポンプの耐久性や大気中の二酸化炭素(CO2)を走行中に回収する装置の技術も向上した。
水素タンクを楕円形にすることで従来150リットルだった容量は220リットルに増加した。トヨタは2023年から液体水素を燃料としているが、22年までは70メガパスカルの気体水素を活用していた。圧縮気体水素と比べると、水素搭載量は今回のタンクで約2・5倍に増えた。
このほか、タンクの水素をエンジンに送るポンプは、耐久性を従来比3倍の24時間以上に引き上げた。ポンプを構成し往復運動を回転運動に変えてモーターにトルクを伝える「クランク」は、これまで1方向から力が伝わっていた。そのためクランクのギアやベアリングに偏った負荷がかかっていた。新たに「デュアルドライブ」という機構を採用。クランクの両端からトルクをかけ、バランスの良い機構を実現した。
CO2回収装置では、特殊な吸着材をつけたフィルターでCO2を取り込み、内燃機関の熱で脱離する。これまではフィルターの交換を手動で行っていたが、吸着フィルターを回転させることで吸着と脱離を自動化した。
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日刊工業新聞 2024年05月27日