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キヤノン、半導体露光装置の生産能力を1.5倍へ。攻めに転換

5年ぶりの大型投資、宇都宮事業所などに100億円
 キヤノンは栃木県の半導体露光装置工場の生産能力を年内に2014年比1・5倍に引き上げる。投資額は100億円規模とみられる。モノのインターネット(IoT)の普及を背景に同社が手がける光源がi線、フッ化クリプトン(KrF)の両装置需要は堅調とみて約5年ぶりの大型投資に踏み切る。「ナノインプリント露光」技術を使う次世代装置の量産体制の検討も始めた。苦戦が続いた露光装置事業は、守りから攻めへ転換する。

 キヤノンは宇都宮事業所(宇都宮市)と阿見事業所(茨城県阿見町)で半導体露光装置を製造する。今回は主力の宇都宮事業所の既存工場に新たな機材や治工具を導入する。

 一方、ナノインプリント露光装置は、東芝が17年度にも稼働させる半導体メモリーの新工場に導入する意向を示している。また韓国・SKハイニックスも同装置の導入に関心を示しており、キヤノンは量産体制を整える検討に入った。宇都宮事業所もしくは阿見事業所に新棟を建設する案を軸に、同社の別の拠点の空きスペースを有効利用する案なども含め幅広く検討する。
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日刊工業新聞2016年4月1日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
キヤノンの半導体露光装置事業は、i線、KrFという比較的古い技術と、ナノインプリントという次世代技術の両分野で成長の兆しがみえてきた。半導体露光装置はオランダのASML、ニコン、キヤノンの3社がプレイヤーだが、ASMLの一強というのが実態。今後、キヤノンがその牙城に風穴を開けられれば画期的だ。ただASMLの存在感は絶対的。キヤノンに楽観ムードはなく、厳しい戦いに備えている。 その辺りについて同社半導体機器事業部長の武石洋明執行役員に先日、取材させていただきました。後日インタビュー記事を掲載しますので、どうぞご期待ください。

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