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持久戦かスケールメリットか。地銀再編、選択迫る

「マイナス金利」体力奪う。合従連衡さらに加速か
持久戦かスケールメリットか。地銀再編、選択迫る

右は横浜銀行と東日本銀行が経営統合し誕生するコンコルディア・フィナンシャルグループ

 4月以降、東京TYFGなど全国の地銀グループの再編が加速する。一方で、少子高齢化、地元企業の資金需要の乏しさに加え、予想外のマイナス金利政策の導入が地銀経営に重くのしかかる。

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズはマイナス金利の導入で地銀の16年度の本業のもうけを示す業務純益は15%の減益になると試算する。今後、体力がじりじりと奪われるのは不可避で、再編機運は高まる。

 日銀はマイナス金利で貸し出し増を後押しする狙いだったが、「地場の優良企業は内部留保は厚い」(メガバンク幹部)。貸し出し余地は小さい。「経費を減らすしかない」。地銀関係者はこう漏らす。

 全国地方銀行協会の寺沢辰麿会長(横浜銀行頭取)は地銀の収益構造について「(地銀各行の)足元の収益見通しは良いが、有価証券の配当や運用益、与信コストの低下、株式売却益などで経常利益や当期利益を維持している」と指摘し、利ざやの更なる低下に懸念を示す。

 すでに低金利下にある中、わずかながら利ざやを確保できたのは融資先の業績回復で与信コストが下がっていたため。金融庁は貸出基準を緩和しての融資を促すが、与信コストが上昇すれば経営が傾きかねないのが地銀を取り巻く現状だ。逆風下、縮小均衡が必至な中、各行はリスクは取りづらい。

 地銀には地方創生による新事業創出の旗振り役を期待されるが、一部の地銀を除けば、ノウハウは乏しい。個人向け無担保ローンを強化する動きも出てきたが、差別化が難しい分野だ。

 入り口が期待できなければ出口を絞るしかないが、各行の経費削減も限界があり、「再編も一つの手段」(寺沢会長)として浮上する。日銀の黒田東彦総裁の任期は残り2年。持久戦に持ちこたえるか。スケールメリットを追求するか。選択を迫られる。

東京TYFG・3行、都中小公社と連携


 4月に新銀行東京と統合して新たな体制となる東京TYフィナンシャルグループ(東京TYFG)などは23日、東京都中小企業振興公社と業務連携・協働の覚書を結んだ。都内最大の124店舗ネットワークを持つ地域金融機関の東京TYFG・3行と東京都中小企業振興公社が連携することで都内中小企業の多様なニーズに対応し、東京の産業の活性化と地域経済発展に貢献する。

 連携・協働するのは東京TYFGと、傘下の東京都民銀行、八千代銀行、さらに4月に東京TYFG傘下に加わる予定の新銀行東京。内容は事業化支援・創業支援、知的財産権の取得・活用支援、事業承継・再生支援など8分野。

 東京都民銀行頭取を兼務する柿崎昭裕東京TYFG社長は「これまで単独ではできなかった中小企業へのソリューション提供ができるようになる。4月から3行で取り扱いが始まる融資商品は、いずれも事業性を評価して担保・保証にとらわれない融資商品の取り扱いとなる。公社と組むことで事業承継も含めて中小企業の課題解決につなげたい」と語った。

 起業・創業ノウハウに強みを持つ八千代銀行の田原宏和頭取は「8年前に渋谷区と協働して渋谷区サポートオフィスを、また3年前には町田市と共同出資でインキュベーション施設の町田新産業創造センターをつくり、創業融資や相談など含め年間平均300件の創業支援で実績がある。公社と連携することでより深いメニューを提供する」と意欲を述べた。

 常久秀紀新銀行社長は「公社と私たちが一体となり、お客様の多様化・高度化するニーズにしっかり応えていく」と語った。

 井澤勇治東京都中小企業振興公社理事長は「我々が行う助成金や事業承継再生支援などの実効性を高めるにはどれも金融機関との連携が必要なものばかり。調印を契機に最高のパートナーとして共に中小企業の期待に応え、東京の経済の持続発展につなげたい」と語った。

 同日、東京都中小企業振興公社と連携した3行の共通の融資商品の取り扱いを4月1日から始めると発表した。融資商品名は、事業可能性評価融資制度「事業のチカラ」と、知的財産評価融資制度「知財のチカラ」(公社連携スキーム)の二つ。

千葉・武蔵野銀が提携「新しい地銀連携モデル」


 千葉銀行と武蔵野銀行は包括提携を結んだ。現在、両行が互いに保有する株式を、3%を上限に買い増す計画。「千葉・武蔵野アライアンス」の旗の下、経営の独立性は維持していく方針。固有ブランドと顧客基盤を保持しながら、相互の金融商品・サービスで収益を増大。業務共同化によるコスト削減も図り、5年後に両行で累積100億円の提携効果を目指す。

 4月早々にも分科会を立ち上げ提携内容に関する協議を進める。金融商品の仲介、投資信託販売、信託業務の事務部門共同化などさまざまな提携を想定。ITシステムについては統合ではなく、基幹系システム周辺の「サブシステム」を共同で開発していく。

 今回の包括提携に関して、武蔵野銀の加藤喜久雄頭取は「自主独立を堅持しながら、地域で勝ち残るための“同盟関係”だ」と述べた。千葉銀の佐久間頭取は常々、「経営統合によらない新しい地銀連携モデル」と話した。現在、千葉銀は武蔵野銀の株式の0・61%を保有。武蔵野銀も千葉銀の株式の0・14%を保有している。



2016年3月24日/28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
再編で「悪貨は良貨を駆逐する」ような展開になりそう。

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