韓国にみるサービスロボット国策振興。18年に生産額を3倍超へ

文=三治信一朗(NTTデータ経営研究所)自らの立ち位置の評価と改善を

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写真はイメージ
 韓国は、国策としての産業振興策を講じている。おそらく、欧米と日本、それから、中国の動きもよく見たうえでの判断だろう。産業用ロボットもサムスンをはじめとして、いくつかのメーカーの取り組みがあるものの、自らのラインの中に入れるといったことがほとんどとみられず、本気度という点では薄い。

 一方で、力を入れているのがサービス用のロボットである。ロボットの国策としても注力しており、第1次知能型ロボット基本計画(2009―13年)がロボットの基本政策として取り組まれた。この時の政府のかけ声は「一家に1台ロボットを導入する」というチャレンジングなものであったようにとらえている。

 この結果、市場として0・9兆ウォンが2・1兆ウォン(約2倍)に、雇用としては0・6万人が1・1万人(約2倍)に、輸出は1・8億ドルから6億ドル(約3倍)に増えたというように総括している。

 さすがに、一家に1台という目標そのものは届かないという印象ではあるが、その後の経過についても定量的に評価している点は、その数値がどの程度の内容が盛り込まれているかは別として一定程度、評価できよう。

 その後、後継の政策として、第2次知能型ロボット基本計画(14―18年)に取り組んでいるところである。この時の政府計画は、5年間で2・5兆ウォンを投入した上で、目標として国内生産額を2・1兆ウォン(12年)から7兆ウォン(18年)に、輸出を0・6兆ウォン(12年)から2・5兆ウォン(18年)に、ロボット企業を368社(12年)から600社(18年)に増やすことを掲げている。

技術需要者中心の「開放と競争」


 この目標を達成するために、選択と集中として、産業用ロボット市場に関しては引き続き確保を行い、サービス用ロボット市場では積極的に新技術を先取りする、としている。また、グローバル市場獲得のために、規模の経済の実現と競争力確保のため外国進出を本格的にサポートすることとしている。

 結果として、現在、欧州にはサービスロボット、マレーシアには教育ロボットを輸出しているとのこと。さらに、技術供給者ではなく、技術需要者中心の「開放と競争」体制の導入、ロボット産業振興のためのロボット―他産業間融合と主体間協力の強化などの融合策をうたう。

 まだまだ数と市場規模がそこまで伸びてはいない産業ではあるが、他国の動きも見たうえで、自らの立ち位置の評価と改善をしている国に学ぶことも多いことを、自らを省みる契機としたい。

日刊工業新聞2016年3月25日 ロボット面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

半導体や自動車といった主力産業の成長が鈍りつつある韓国は、次の柱の育成が重要課題。ロボットはその一つで、着実に育てようとしている。日本を見てみると、ワッと盛り上がるキーワードがあると関連する政策が次々と生まれ予算もつくものの、その後の評価や改善になかなか生かされないのは悪い癖かもしれない。一度決めると修正するのが苦手で、変えることを良しとしない面も未だにあるように思う。大切なのは目標をいかに達成するか。世界の動きや経済状況などに合わせて形や中身を柔軟に調整して発展させていくべきだろう。

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