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生産子会社2期連続の赤字…シャープ、大型液晶パネル悪化で苦境

生産子会社2期連続の赤字…シャープ、大型液晶パネル悪化で苦境

業績の立て直しを急ぐSDP(右)

シャープの大型液晶パネル事業の業績が悪化している。生産子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市堺区)は大型液晶の価格下落を背景に2023年12月期に866億円の特別損失を計上し、2期連続の当期赤字に陥った。一部稼働停止が報じられるなど苦境にあるSDPは、足元で韓国メーカー向けに加えて中国のローカルメーカー向けにも供給を始めるなど稼働率の改善を急ぐが、赤字脱却は依然不透明だ。(大阪・森下晃行)

SDPの業績

シャープの24年3月期業績予想は大型を含む液晶事業の不振を主因として100億円の当期赤字となる見通し。SDPの液晶の不振が響く。関係筋によると23年に海外企業に一部設備の売却を検討したが、「第10世代」と呼ぶ大型の生産設備に汎用性が見込めないことから交渉は折り合いがつかなかったもようだ。シャープは「さまざまな可能性を検討している段階」としている。

SDPの23年12月期決算は1156億円の当期赤字(前期は360億円の赤字)だった。大型液晶の市況は回復基調だったが売価が低く、赤字が続くため生産設備などの減損損失を計上した。シャープはこの減損損失を23年3月期の決算などに計上済みで、24年3月期業績予想への影響はないとしている。

シャープは経営不振に陥っていた12年に、台湾・鴻海精密工業グループの出資を受け入れ、SDPを連結対象から外した。だが大型液晶パネルの安定調達や中小型液晶パネルへのシフトによる事業拡大を理由として海外ファンドから22年にSDPを買い戻した。22年4月、呉柏勲副会長兼最高経営責任者(CEO、当時)は「テレビ以外へのシフトも考えており需要は増える一方。買い戻しは正しい判断だ」とした。

ただ、大型液晶は市況が低迷。てこ入れを図るために挑戦した中小型液晶も振るわず、当初の思惑が外れた。23年6月の定時株主総会でも株主から厳しい発言が相次いだ。

シャープの24年4―12月期連結決算はパソコン(PC)、タブレット端末向けの回復遅れ、スマートフォン需要の低迷などから主要5事業のうち液晶事業のみが営業赤字だった。大型と中小型を合わせた液晶事業全体の不振がシャープの経営の足かせとなっている。

シャープは大型液晶工場のSDPのほかに、中小型液晶の主要工場を3カ所置いているが、亀山工場(三重県亀山市)を除いて稼働率は低迷しているとみられる。まさに「八方塞がり」(業界関係者)の状況の中、液晶事業全体の抜本的見直しが必要になる。


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日刊工業新聞 2024年4月17日

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