塗布で作れる光脈波センサー…3層構造、大規模生産可能に
理研が開発
理化学研究所のスン・ルル特別研究員と福田憲二郎専任研究員、染谷隆夫主任研究員らは、塗布で作れる薄型光脈波センサーを開発した。有機太陽電池と有機光検出器、有機発光ダイオード(LED)を3層の塗布だけで作る。試作品は35日後も脈波を検出できた。塗布工程で作れるため大規模に生産できる。
薄型基板上に透明電極と機能層、不透明電極の3層を作る。透明電極は導電性高分子、不透明電極に液体金属の共晶ガリウム・インジウムを採用した。機能層は発電や発光などの目的に応じた有機半導体を塗布する。
透明電極と機能層をブレードコート法で塗布した後に共晶ガリウム・インジウムをスプレーで塗布する。空気中で噴霧すると共晶ガリウム・インジウムがダマにならず均一な膜になる。噴霧中に液滴が酸化され濡れ性が向上したと考えられる。
耐久性の面では有機太陽電池は1000分後も初期性能の8割を維持し、光脈波センサーは35日後も波形が崩れるものの脈拍を検出できた。
日刊工業新聞 2024年04月12日