“品ぞろえ”強化中…早稲田大学の履修証明プログラムが重視していること
多様な社会人教育を手がけ、他大学から一目を置かれる早稲田大学。商業施設のコレド日本橋のビルで実施する「WASEDA NEO」はビジネスパーソン向け教育事業だ。近年は履修証明プログラムの“品ぞろえ”を強化している。一方で定年世代の知的コミュニティーとなる「ライフ・リデザイン・カレッジ」で、新たな需要開拓を進めている。(編集委員・山本佳世子)
履修証明プログラムは学校教育法に基づき、特定分野を計60時間以上、系統的に学ぶと履修証明書が交付されるプログラムだ。欧米の大学で盛んな「サーティフィケートプログラム」に当たる。学位にならないが、学術と実践による本格的な学びで、教育訓練給付金を受けられるものも多い。「日本では100ほどあるが、1学部・研究科の授業を核にした1大学1件が中心だ。本学は1年に延べ7件を動かしている」と、社会人教育事業室の守口剛室長(商学学術院教授)は胸を張る。
形式は多様だ。例えば108時間に及ぶデータサイエンスはすべてオンライン、逆にマーケティングはすべて対面だ。主力は個人受講だが、技術系のスマートシステムは企業派遣が中心になる。定員30―40人で設計するが、企業の中堅向けのリーダーシップは15人に絞って展開する。
この中にはブランディングや交渉力などのテーマで行う、少人数のゼミナールもある。「ウェブ動画など無料講座も増える中で、大学ならではの中身を提供する」(守口室長)ことを重視している。
一方、ライフ・リデザイン・カレッジは定年世代がターゲット。ボランティアも含めた社会課題の解決法、人生の蓄積を後進に伝えるコミュニケーション、歴史などリベラルアーツが3本柱だ。
週3日を使って20人ほどのクラス活動やゼミ、修了論文の執筆もし、会社員時代に難しかった緩やかな知的活動を展開。憧れの早稲田でセカンドライフを考える、新たな居場所で人気を集めている。