鴻海が「31日に買収契約を結ぶ」という報道を否定した理由

「31日までに合意」は切羽詰まったシャープと主力銀行側の強い希望か

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シャープの高橋興三社長(左)と鴻海の郭台銘会長
 台湾・鴻海精密工業によるシャープ買収交渉は、鴻海が提示した出資減額案をシャープが受け入れる方針を固め、月内決着のめどがたった。今週前半に細部を詰め、シャープ主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行も追加融資枠設定などの行内手続きを行う。シャープと鴻海はそれぞれ30日に開く取締役会で決議し、31日の契約締結を目指す。鴻海は今後、シャープに役員を派遣して、再建を主導する考えだ。

 鴻海の出資額は当初予定の4890億円から1000億円減り、3890億円程度となる。シャープの債務リスク発覚や足元の業績低迷を受け、鴻海は買収条件見直しを要求。再協議が難航していた。

 出資額の減額はシャープの新株買い取り価格引き下げで調整する。鴻海は議決権の約66%分を当初案通り確保する。鴻海がシャープに預ける保証金1000億円は予定通り実施、鴻海は主力行が持つシャープ優先株の買い取りにも応じる。

 債務リスクに加え、シャープは中国事業低迷を理由に2016年3月期業績予想を下方修正する見込み。主力行は3000億円規模の追加融資枠設定で支援する。シャープは鴻海からの資金を、成長を見込む有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネル量産化などに用い復活を狙う。

ファシリテーター・安東泰志氏の見方


 鴻海は27日、「31日に買収契約を結ぶ」との一部報道を否定し、30日に開く取締役会で「交渉について議論するかどうかを決める」と発表した(Bloomberg)。主力銀行は31日に期限がくる5100億円の融資を1ヶ月しか延長しない方針で、かつ、実態債務超過の可能性もあり、シャープが3月決算で監査法人から適正意見を付した監査報告書を得るためには、31日までに合意したいというのがシャープと主力銀行側の強い希望であることは推測できる。
<続きはコメント欄で>

日刊工業新聞2016年3月28日3面

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

仮に4月以降にずれ込む場合は、5月に予定される決算取締役会より前に支援が確約され、後発事象を加味した監査報告書が出され、当該取締役会で株主総会議案として鴻海への第三者割当増資関連議案が決議される必要があり、切羽詰まる。しかも、6月の総会で鴻海への有利発行についての特別決議が承認される保証はない。債権放棄と増資で確実に3月までに支援を受けられた産業再生機構案を蹴ったことが吉と出るか凶と出るか。

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