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フッ化水素酸に強み…半導体・電池需要狙う森田化学の競争力

フッ化水素酸に強み…半導体・電池需要狙う森田化学の競争力

フッ化水素酸の原料となる蛍石。良質のものは主に中国で産出する

森田化学工業(大阪市中央区、森田泰央社長)は、フッ化水素酸を製造する数少ない国内企業の1社だ。フッ化水素酸は半導体シリコン基板の洗浄やエッチングに欠かせないが毒性が強く、扱いは難しい。同社は国内で初めて生産に成功し、培ったノウハウで安定供給を可能にした。近年は米中対立の激化を見据えて調達先の多角化も検討。時流を読みつつ電池などの分野でも成長を目指す。

半導体用フッ化水素酸は不純物をppt(1兆分の1)レベルで維持する必要がある。「365日安定して生産し続けるのが難しい。徹底した品質管理が必要だ」と有藤慶洋営業・購買部長は強調する。安定供給できる企業は世界的に見ても少なく、森田化学の競争力を象徴する製品といえる。

生産工程では原料の蛍石を硫酸と反応させて無水フッ化水素酸を作り、蒸留して不純物を除去する。良質の蛍石は主に中国で産出するため、同社は中国に無水フッ化水素酸を生産する合弁企業を構える。ただ、米中対立の激化により“チャイナフリー”のフッ化物需要が今後は高まる可能性もある。

原料の質や製造コストで課題は残るが「インドなど中国以外からの調達も検討している」(森田社長)。特に車載電池に使うフッ化物は米国における需要が大きい。地政学的リスクには慎重に対応していく必要がある。

産業別では売上高の約5割を半導体分野が稼ぐ。半導体産業の長期的な発展を見越し、森田化学は同分野の営業を強化している。

電池分野にも力を注ぐ。リチウムイオン電池(LiB)の電解液に使う添加剤として、フッ化物の需要を捉える。2023年には神崎川事務所(大阪市淀川区)にLiBの簡易評価設備を導入した。開発に活用する。

将来的には半導体・電池の両分野で、売り上げを現在の1・5倍に伸ばす目標を掲げる。(大阪・森下晃行)

日刊工業新聞 2024年04月03日

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