能率・耐久性向上…京セラ「強力固定の突っ切り工具」投入
京セラは高能率、安定加工を実現した自動盤用突っ切り工具「KGZ」を開発した。5日に発売する。ホルダーに採用した独自機構により、インサート(刃先交換式チップ)を強力に固定してびびりを抑制するほか、加工時に発生するインサートからの応力を分散し耐久性を高めた。ステンレスや鋳鉄、合金鋼、アルミニウム合金といった幅広い材料の小物部品加工に対応する。
突っ切り工具は刃であるインサートと、それを固定するホルダーで構成。旋盤加工後、製品となる部分だけを切り落とすために使われる。
新開発のKGZはホルダーを計112型番、インサートを計129型番それぞれ用意した。消費税抜きの価格はホルダーが1万5300円から、インサートが1320円から。初年度に年1億8000万円の売り上げを目指す。
ホルダーに三つの独自機構を採用。左右に抜ける斜めのスリットを設け、構造上難しいとされてきたインサートを真上方向から適切な圧力で固定することに成功した。
インサートを挟み込むホルダーのクランプ上部は、内側に引き込む形状にデザインしてインサートのズレを抑制。加工時にインサートから負荷や衝撃を受けるホルダーのストッパー部は、鈍角形状に設計して応力を分散し、同部の摩滅量を他社製品比3分の1以下に低減した。
インサートは、上面に設けられたV字の溝の角度と形状を両端部と中央部で変えることでホルダーへのフィット感を高め、スムーズな装着を実現する。
またインサート向けに、特殊ナノ(ナノは10億分の1)積層コーティング材種と成膜プロセスを開発。鋼を加工する際の耐摩耗性を他社製品比2倍に高めた。
日刊工業新聞 2024年04月03日