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広告デザイン会社が“畑違い”のゲーム事業に参入した理由

広告デザイン会社が“畑違い”のゲーム事業に参入した理由

製作したゲーム8作品。企業などの依頼でオリジナルゲームも開発中

マスターから入店禁止を告げられないようにマナーを守って飲食を楽しむ「出禁」、相手に道を譲りながら邪魔もして横断を競う「横柄歩道」。クリエイティブハウスキューズ(東京都中央区)が開発したカード・ボードゲームだ。どちらも迷惑行為について考えさせられる。風刺の効いたゲームばかりでなく、相手の石を挟んで自分の色に変えるリバーシの3人版「トリバーシ」のような新しいゲームもある。

同社は1990年の設立以来、企業広告のデザインを専門としてきた。しかもFA(自動化)製品などのBツーB(企業間)業界が主要顧客だ。ゲーム事業への参入は2022年と近年のこと。西村哲矢社長が過労で体調を崩したことがきっかけだ。休養中、じっとしていられずにゲームを作ってみると社員から好評だった。社員が著名なゲーム作家である米光一成氏と知り合う偶然も重なった。米光氏とアドバイザー契約を結んでゲーム開発を始めた。

アナログなゲームもコミュニケーションツールになると話す西村社長

本業とは畑違いに思える。しかもデジタル全盛の時代にあって、カードやボードゲームはアナログだ。西村社長は「広告はデザインによって内容を伝えるコミュニケーションツール。アナログなゲームも芸術性の高いデザインによってコミュニケーションになる」と確信を持って説明する。例えば、外国人労働者に日本の習慣を覚えてもらうにもゲームが有効という。研修目的だけでなく、企業の事業内容を社会に伝えるゲームも製作できる。BツーBの顧客基盤は強みであり、企業などの要望を受けてオリジナルゲーム3作品の開発が進行中だ。

持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにしたゲームも構想する。ほかにも地域活性化支援など「社会貢献度の高いゲーム」を目指す。加えて「一度やって終わりではなく、何回も遊んでもらえる面白さ」にもこだわる。過労が原因となった災いが転じ、社会課題解決に貢献するカード・ボードゲームという新しいBツーB市場を発見した。

日刊工業新聞 2024年03月29日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
アナログゲームの可能性を感じました。「教育目的」が全面だと研修で1回やって終わりということもあると思います。社会貢献要素のあるオリジナルゲームであっても、休憩時間などに社員が自主的にやっているなら、楽しさが勝っているのでゲーム要素もしっかりある本物と思いました。どんなゲームが開発されるのか楽しみです。

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