最新型ドローン、機能向上競う―中国DJI、仏パロットの最新モデルを比較!
<追記あり>3強が世界を席巻、日本メーカーが巻き返すのは難しい
日本でも民生用の飛行ロボット(ドローン)普及の兆しが出てきた。2015年12月に改正航空法が施行されて民生用ドローン利用の枠組みができ、世界最大手の中国・DJIや仏パロットなどドローンメーカーは法人利用も含めて市場拡大に期待を寄せる。タイミング良く、使いやすく機能を高めたマルチコプタータイプのドローンが相次ぎ登場している。
DJIの日本法人、DJIジャパン(東京都港区)は、障害物回避や対象の自動追尾機能などを新たに盛り込んだ「Phantom(ファントム)4」を発表した。価格は18万9000円(消費税込み)。全地球測位システム(GPS)なしでも床の模様をカメラで認識し位置を把握する。高価ながら最新技術を盛り込み「ドローン界のテスラモーターズ」となる製品に仕上げた。
DJIは法人向けドローンも扱うが本格的な日本市場開拓はこれから。高い機能を持ち手軽に使えるファントム4の法人利用も見込んでいる。そのため、操縦指導員を育成する「DJIキャンプ」を1月から開始。販売店主催の体験会なども合わせて、ドローンに触れる場作りと、ルールを守った利用への取り組みを進める。
併せてレンタル事業者との連携も拡大する。15年の契約業者数は10件で現状は15件。同じペースで増やしていきたい考えだという。
パロットは500グラムの軽量ながら、飛行時間25分と長時間飛行を実現した「Bebop(ビバップ)2」を3月24日に日本で発売した。本体の価格は6万7500円(消費税抜き)、コントローラーとのセットは10万2500円(同)。プロペラを軽くし、物体に触れるとストップするなどの工夫で安全性を高めた。
クリス・ロバーツJPAC地域担当バイス・プレジデントによると、機体全てを再設計し、誰でも簡単に長時間飛ばせるよう飛行の安全性を高めた。機体とカメラが一体なことも他社製品とは違っており、操縦の安定性に寄与するという。
パロットは日本市場を「機体の選択肢が多く、混然としている」と認識する。法人利用については、パロットが得意とする画像からの3次元マップ作成技術や、海外展開する農業利用向けのツールを生かした展開を考えている。最終消費者向けでは小売店などと連携し、体験する「場」を作るなどの取り組みでユーザー層を広げる。
(文=石橋弘彰)
民生用の飛行ロボット(ドローン)は、中国のDJI、仏パロット、米3Dロボティックスの3強が世界を席巻しており、日本のメーカーが今後、巻き返すのは難しい。日本勢が戦うべきは、構造物点検や配送、農業などの産業用ドローンだ。業務用は市場が未成熟で各社がスタートラインに立ったばかりの状況で、激戦市場ながらやりようによって勝ち残ることができる。産業用は民生とは全く違う厳しい信頼性や各種性能が求められる。そうした面は日本の製造業にとって強みとなる。だが、業務用ドローンもすでに残された時間は少ない事を認識する必要がある。地道に信頼性を築き上げることは重要だが、世界のドローンを巡る動きはものすごく速い。世界のスピードについていくことも、日本のドローン関係者に求められる要素だ。
(日刊工業新聞社編集局第一産業部・石橋弘彰)
DJIの最新モデルは「ドローン界のテスラ」
DJIの日本法人、DJIジャパン(東京都港区)は、障害物回避や対象の自動追尾機能などを新たに盛り込んだ「Phantom(ファントム)4」を発表した。価格は18万9000円(消費税込み)。全地球測位システム(GPS)なしでも床の模様をカメラで認識し位置を把握する。高価ながら最新技術を盛り込み「ドローン界のテスラモーターズ」となる製品に仕上げた。
DJIは法人向けドローンも扱うが本格的な日本市場開拓はこれから。高い機能を持ち手軽に使えるファントム4の法人利用も見込んでいる。そのため、操縦指導員を育成する「DJIキャンプ」を1月から開始。販売店主催の体験会なども合わせて、ドローンに触れる場作りと、ルールを守った利用への取り組みを進める。
併せてレンタル事業者との連携も拡大する。15年の契約業者数は10件で現状は15件。同じペースで増やしていきたい考えだという。
パロットは安全性高める
パロットは500グラムの軽量ながら、飛行時間25分と長時間飛行を実現した「Bebop(ビバップ)2」を3月24日に日本で発売した。本体の価格は6万7500円(消費税抜き)、コントローラーとのセットは10万2500円(同)。プロペラを軽くし、物体に触れるとストップするなどの工夫で安全性を高めた。
クリス・ロバーツJPAC地域担当バイス・プレジデントによると、機体全てを再設計し、誰でも簡単に長時間飛ばせるよう飛行の安全性を高めた。機体とカメラが一体なことも他社製品とは違っており、操縦の安定性に寄与するという。
パロットは日本市場を「機体の選択肢が多く、混然としている」と認識する。法人利用については、パロットが得意とする画像からの3次元マップ作成技術や、海外展開する農業利用向けのツールを生かした展開を考えている。最終消費者向けでは小売店などと連携し、体験する「場」を作るなどの取り組みでユーザー層を広げる。
(文=石橋弘彰)
記者ファシリテーターの見方
民生用の飛行ロボット(ドローン)は、中国のDJI、仏パロット、米3Dロボティックスの3強が世界を席巻しており、日本のメーカーが今後、巻き返すのは難しい。日本勢が戦うべきは、構造物点検や配送、農業などの産業用ドローンだ。業務用は市場が未成熟で各社がスタートラインに立ったばかりの状況で、激戦市場ながらやりようによって勝ち残ることができる。産業用は民生とは全く違う厳しい信頼性や各種性能が求められる。そうした面は日本の製造業にとって強みとなる。だが、業務用ドローンもすでに残された時間は少ない事を認識する必要がある。地道に信頼性を築き上げることは重要だが、世界のドローンを巡る動きはものすごく速い。世界のスピードについていくことも、日本のドローン関係者に求められる要素だ。
(日刊工業新聞社編集局第一産業部・石橋弘彰)
日刊工業新聞2016年3月25日ロボット面