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Robot mechanism#05 ナブテスコの減速機

効率生産で競争力底上げ
Robot mechanism#05 ナブテスコの減速機

他の部品と組み合わせた複合製品にも力を入れる(精密減速機)

 ナブテスコは産業用ロボットに使われる精密減速機で約6割のシェアを持つトップメーカー。中大型の製品を得意とし、特に可搬質量20キログラム以上の多関節ロボット向けでは圧倒的な採用率を誇る。1月には需要拡大が顕著な中国でノックダウン生産を開始。全世界的に生産の自動化が加速する中、着実に販売量を増やしている。

 「2015年の成長率は6%くらい。今年はもう少し伸ばせるはず」と十万真司常務執行役員はロボット用減速機の先行きを予測する。大需要地の中国では経済の停滞が指摘されるが「現状でロボット関連事業に影響はない。ロボットの普及率はまだ低く、今後も需要拡大が続く」と強気だ。年明けに始まった現地生産も「順調に推移している」という。

 課題は競争の激化だ。「中国などで次々とコピー製品が出現している」と十万常務は顔をしかめる。さらに国内では15年に日本電産シンポ(京都府長岡京市)が新規参入した。このためナブテスコは、生産の効率化による競争力の底上げを急ぐ。15年に能力増強した主力の津工場(津市)に追加投資し、設備更新やロボットの導入を進める計画。現場の力を高めることで競合を引き離す構えだ。

 製品面では複合的な商材を充実させる予定。15年には減速機とモーターを組み合わせたアクチュエーターを投入した。今後売り先を広げるべく、他の複合製品についても「開発を進めている」(十万常務)という。
(文=藤崎竜介)
日刊工業新聞2016年3月23日 ロボット面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ナブテスコの精密減速機「RV」は2015年12月に累計出荷数が600万台を突破。その主要用途が産業用ロボットだ。ライバルが増える中、築き上げてきた“王者”の地位を死守できるか-、今後の戦略に注目したい。 (日刊工業新聞社編集局第一産業部・藤崎竜介)

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