高齢化でイノベーションする北九州市の挑戦

石炭から鉄、そして環境、ロボットの街へ

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安川電機の移乗アシスト装置
 北九州市がアジアの先端産業都市を目指して進めている「北九州市新成長戦略」が、2016年3月末で3年間の区切りを迎える。3年間で1万人の新規雇用創出や市民所得を政令指定都市中位に引き上げる目標は、産業振興や街づくりの進展で高い成果を挙げた。1月には国家戦略特区の募集に応じて「北九州スマートシティ創造特区」の指定を受け、新年度からはロボット活用という新たな挑戦も始まる。

 西日本を代表とするモノづくりの街・北九州市は、高度成長期の深刻な公害や鉄冷えを克服し、今では自動車や環境、ロボットなど新産業のウエートが急速に高まっている。中でもロボットは市内に安川電機をはじめとしたメーカーが複数立地しているのが強みだ。特区でもこの強みを生かし、産学官が連携して医療や介護現場におけるロボット活用という実需に踏み込むのが特徴だ。

 同市の課題の一つに65歳以上の高齢者比率が28%超と、政令指定都市で最も高い点が挙げられる。産業構造の変化と少子高齢化の進展による人口減に歯止めがかからない状況が続く。高齢化が進み、要介護者に対して介護者が足りなくなった場合に活用が期待されているのが介護用ロボットだ。

 2月には産業経済局新産業振興課が市内介護事業者に対して、厚生労働省の「介護ロボット等導入支援特別事業」についての説明会・体験会を行った。当日は約100事業者が集まったほか、メーカーからは安川電機やTOTOなどしない企業のほかに、サイバーダインなど市外企業も多くの製品を展示、需給双方のマッチングを行った。

 安川電機の「移乗アシスト装置」は介護現場での実証実験を通じて数度の改良を行っており、今秋発売が予定されている。体験会では介助者の負担軽減に対して関心が集まっていた。

 北九州市は新成長戦略を改訂し、4月以降新たな成果目標を掲げる。具体的には19年度までに2万人の新規雇用創出のほか、20年度までに市民所得を政令指定都市中位、市内総生産4兆円を継続目標とする。中小企業振興の一層の充実やベンチャー企業の創業促進に加えて、産業用ロボットの導入支援による市場拡大、介護ロボット導入支援、ロボット産業を支える人材育成などを柱に据える。

 石炭から鉄の街、そして今後は環境やロボットを中心とした新たな先端産業都市として、さらなる発展を続けていく。

日刊工業新聞2016年3月24日 「九州・沖縄特集」より抜粋

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三苫能徳
西部支社
記者

北九州市は公害を技術で克服し、環境都市のトップランナーになった。そして現在は高齢化の課題先進地になり、またも技術で解決することで先頭を目指す。産業都市の地力の強さが見えます。

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