村田製作所は１５日、村田恒夫会長（７２）が会長職を退任するとともに代表権も返上し、相談役に就く人事を発表した。６月下旬開催予定の株主総会で決定する。創業家が取締役から外れるのは同社では初めて。村田会長は２００７年から２０年まで社長を務め、在任期間に売上高を約２・５倍伸ばすなど成長をけん引した。今後は経営から退き、社内での後進育成に注力する。また業界・公的団体での職務も引き続き務める方針だ。

村田会長は０７年に兄の泰隆氏から引き継ぐ形で社長に就任。スマートフォン市場の成長を背景に、高機能な電子部品の開発や米アップルとの取引拡大に取り組み、急成長を実現した。

同社では村田会長の退任後、岩坪浩取締役専務執行役員が代表取締役副社長に、南出雅範取締役常務執行役員は代表取締役専務執行役員に就任。中島規巨社長を含め代表取締役３人体制とし、経営基盤の強化や企業価値向上を狙うとしている。岩坪氏が技術開発の責任者として、南出氏がコーポレート機能の責任者として、中島社長をサポートする。

村田製作所は村田会長の父である昭氏が１９４４年に創業。積層セラミックコンデンサー（ＭＬＣＣ）では世界シェア首位を握る。