性能2倍、物材機構が横型熱電材を開発
物質・材料研究機構の周偉男ICYSリサーチフェローと桜庭裕弥グループリーダーらは、横型熱電材料の性能を約2倍に向上させた。シリコンの上に鉄ガリウムを成膜する単純な構造で1ケルビン当たり15・2マイクロボルト(マイクロは100万分の1)の電力を発生する。従来材料は同8マイクロボルトだった。材料探索の幅を広げて性能を向上させる。
温度勾配に沿って起電力が生じるゼーベック電界を磁性材料の異常ホール効果でねじ曲げる。ゼーベック効果の大きいシリコンの上に磁性材料の鉄ガリウムを積層した。
膜厚を調整して検証すると、最大で1ケルビン当たり15・2マイクロボルトと理論予測よりも高い性能を確認した。鉄ガリウム薄膜単体では同2・4マイクロボルトのため6倍に向上した。同8マイクロボルトのワイル半金属と比べても2倍になる。
単純な積層構造でも効果があったため材料を探索して性能を向上させる。温度勾配と垂直方向に電流が流れると、熱電デバイスの構造が単純になり大型化しやすい。
日刊工業新聞 2024年03月13日