全固体リチウム電池で応用へ、名城大がゲルマニウム電極を炭素被膜で長寿命化
名城大学の大前知輝大学院生と藤掛大貴学部生、内田儀一郎教授らは、ゲルマニウム電極を炭素で覆い充放電寿命を伸ばすことに成功した。炭素層が集電体や電解質との界面を担い劣化を抑える。90回の充放電試験では容量の劣化はなかった。全固体リチウムイオン電池へ応用していく。
多孔質ゲルマニウム薄膜を炭素層で挟んだ電極を開発した。集電体となる銅の上に炭素層を形成し、ゲルマニウム層、炭素層と積層する。リチウムイオン電池(LiB)を組むとゲルマニウムの両側の炭素層が集電体とゲルマニウム、電解液とゲルマニウムの界面になる。90サイクルの充放電試験では劣化は見られなかった。
ゲルマニウムは炭素電極の4倍の理論容量を持つが、リチウムを取り込むと体積が4倍に膨らむ。充放電を繰り返すと集電体から剥がれる問題があった。新技術は炭素層が機械的劣化と化学的劣化を抑えたと考えられる。実験では電解液を用いたが、固体電解質と組み合わせた全固体電池への応用を目指す。
日刊工業新聞 2024年02月27日