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「アイフォーンSE」発売も部品メーカーは「7」へ動く

 米アップルは21日(現地時間)、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で、画面サイズが4インチの新モデル「SE」を31日に発売すると発表した。最新性能を実現しながら、サイズを小さくして価格を引き下げた。アイフォーンの販売が鈍化する中、新興国などで需要を開拓する狙いだ。ただ当初の生産規模は最新の「6sシリーズ」の10分の1程度とみられており、アイフォーンに部品を供給する日本メーカーに高揚感は乏しい。

 右肩上がりの成長を続けてきたアイフォーンだが、15年10―12月期の販売台数は7477万台で前年同期比で0・4%増と横ばいに留まった。過去数年で急成長した中国市場も落ち着き、スマホ市場全体が低成長期に入ったことが背景にある。

こうした中、需要喚起を狙うアイフォーンSEだが、「4―6月の生産計画は6sシリーズの10分の1に留まる」(電子部品業界担当アナリスト)との見方が出ている。

 アイフォーンに高機能部品を供給する電子部品メーカーの収益への影響は少なそうだ。現段階では生産数量が6sシリーズと比べて少ないことに加え6sとほぼ同じ仕様で特段新しい部品が搭載されていないため、「大幅な部品需要の増加に結びつくとは言いがたい」(部品メーカーの担当者)からだ。

 各社はすでに今年発売する新モデルに照準を合わせている。今年はアイフォーンのフルモデルチェンジの年で、カメラを2個搭載する「デュアルカメラ」といった機能が追加されると言われている。このため部品メーカーが手がける高機能部品の需要を一定程度押し上げる見込みで、すでに昨年秋頃から設備投資を始めたメーカーもある。

 ただ、スマホの成長は鈍化し、王者アップルも以前のような勢いはない。このため部品各社はスマホ向けの部品の安定供給体制を維持しながら、自動車向けをはじめとする成長市場の開拓を本格化している。アイフォーンで稼いだ資金を、成長市場への投資に充て、安定成長を狙う。
(文=後藤信之、下氏香菜子)
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日刊工業新聞2016年3月23日電機・電子部品面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
「7」の仕様についてはいろいろな噂も出ている。次からサプライチェーンがどう変わっていくか注目。

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