結晶シリコン太陽電池の成膜プロセス、AIで最適化
北陸先端科学技術大学院大学の大橋亮太大学院生と大平圭介教授、理化学研究所の沓掛健太朗研究員らは、結晶シリコン太陽電池の成膜プロセスを人工知能(AI)技術で最適化した。制約付きベイズ最適化という手法で、実用的なプロセス条件を探索する。この手法で、8回の実験で最適条件を見いだした。太陽電池や成膜に限らず幅広い条件出しに提案する。
成膜技術の触媒化学気相堆積法の条件出しにベイズ最適化を適用した。ただ薄膜の特性のみを向上させるようにプロセス条件を探索すると、実現不可能な条件も探索範囲に入ってしまう。そこで成膜装置では実現できない条件を排除した。
さらに特性に加え膜厚や圧力の予測モデルを作り多次元で最適化した。すると8回の実験で最適条件が見つかり、20回の実験で最適化が完了した。ガス流速と基板温度が特定の範囲内だと特性が向上した。候補となる実験条件は膨大だが効率的に絞り込めた。方法論を多分野に展開する。
日刊工業新聞 2024年02月21日