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次世代太陽電池「ペロブスカイト」60℃で1000時間発電、屋外利用へ一歩

物材機構が開発
次世代太陽電池「ペロブスカイト」60℃で1000時間発電、屋外利用へ一歩

ペロブスカイト太陽電池の断面とペロブスカイト結晶構造の模式図

物質・材料研究機構のカダカ・ビ・ドゥラバ主任研究員と白井康裕グループリーダーらは、60度Cで1000時間発電するペロブスカイト太陽電池を開発した。絶縁層を含む2次元(2D)ペロブスカイトを形成して水や酸素による劣化から守る。発電効率は20%以上。耐久性が向上し、屋外利用に向けて前進した。

ペロブスカイトの半導体層と有機アミンの絶縁層が交互に重なった2Dペロブスカイト結晶を利用する。2D結晶の絶縁層は疎水性のため、水分や酸素にさらされても安定する。この2D結晶を3次元(3D)ペロブスカイトと電子輸送層の間に導入した。

実験では2Dペロブスカイトの結晶粒の大きさや各層の厚みなどに応じて太陽電池の性能や耐久性が変化した。1センチメートル角の太陽電池で60度C、1000時間、発電効率20%を維持できた。

ペロブスカイトはイオン性結晶半導体のため水分に弱い。ペロブスカイト太陽電池は安価に塗布などで量産することが目指されているが、生産工程からの水分侵入が課題になっていた。

日刊工業新聞 2024年02月15日

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