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第一生命は32.1万円に、人材獲得競争激化で生保の初任給引き上げ相次ぐ

第一生命ホールディングス(HD)は18日、4月に入社する新卒社員の初任給を従来の27万6000円から約16%引き上げ、32万1000円にする方針を明らかにした。初任給の引き上げは2020年4月以来4年ぶり。人材獲得競争が激しくなる中、魅力的な給与を提示し、優秀な人材の確保・定着を狙う。

32万1000円には、基本給に加え、一定時間の残業代に相当する勤務手当が含まれる。転居を伴う転勤がある大卒の内勤職の例示金額。手当てを除いた金額は公表していないが、基本給だけを比べても、銀行や証券会社を含む金融機関で最高水準とみられる。

第一生命HDは、すでに24年度に営業職も含めた国内社員約5万人に対し、給与改定や新たな人事施策の導入などで全体として平均約7%の賃上げを表明済み。初任給の改定も、この7%に含まれる。他の大手生保も相次ぎ7%の賃上げを表明する中、第一生命HDは初任給の金額を大胆に引き上げることで、他社と差別化する。

初任給をめぐっては、日本生命保険が新卒入社の総合職の基本給を24年度に従来より3万円多い24万1000円にする。平均的な残業代込みの金額では、30万1000円を見込む。明治安田生命保険は残業代込みの初任給を従来比3万円多い29万4820円に引き上げる。

住友生命保険は基本給で従来比2万5000円多い23万5000円にする。平均的な残業代込みだと、28万5000円を見込む。同社はさらに25年4月入社でも「基本給を2万5000円以上引き上げる方向で検討する」(住友生命)という。

足元の物価高は給与が相対的に少ない若年層の生活をより圧迫しているとの声がある。生保各社は初任給を手厚くすることで、若手社員の生活に余裕を持たせ、人材の定着につなげる。 


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日刊工業新聞 2024年01月19日

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