住友化学が国内6工場のシステム統一、設備保全を刷新する狙い
住友化学は国内工場の設備保全体制を刷新する。このほど六つの主要工場を対象に、統一した設備管理システムを導入した。統合業務パッケージ(ERP)と設備管理システムなどを連携させて設備データを一元管理し、設備異常の早期検知やトラブル回避など保全の高度化に乗り出す。投資額は約22億円。化学業界で人手不足や技能伝承が課題になる中、同社は蓄積したデータを有効に活用し持続可能な保全体制を構築する。
設備管理システムを導入するのは愛媛工場(愛媛県新居浜市)、大江工場(同)、千葉工場(千葉県市原市)、大阪工場(大阪市此花区)、大分工場(大分市)、三沢工場(青森県三沢市)の6工場。ERPと連携させるとともに、図面などのエンジニアリングデータや設備の運転データと組み合わせることが可能になる。また保全やコストのデータについて共有や蓄積が容易になる。保全の約7割に当たる業務を対象に効率化できる見通しだ。
今後、蓄積したデータを活用することで保全業務を高度化する考えだ。保全コストの削減や故障・トラブルの回避に役立つとみており、工場の生産性の向上にも寄与する。数年内に保全コストについて従来比1―2割の削減を見込む。
経営層にとってはプラント単位や設備単位で情報を把握できるので、適切な予算配分や投資判断を行える。協力会社とのデータ共有も容易になり、協力会社と協調して業務効率化や安全面の向上を図れる。蓄積したデータを生かすことで若手向けの技能伝承にも活用できる見通し。
従来は工場ごとに設備管理システムが異なり、ERPと接続できない場合があった。保全に必要な予備品の管理も工場ごとに違うことがあった。また保全履歴と補修費の照合を目視で行うなど手作業の工程もあり、手間がかかっていたという。データ共有が困難なため、採算に見合わない補修コストや、適切な設備更新の機会の喪失といった課題を抱えていた。さらに保全スタッフの人事異動も工場をまたぐ異動がしにくい問題もあった。
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