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3倍の厚みで印刷できる、物材機構がスゴイ「銅インク」開発

3倍の厚みで印刷できる、物材機構がスゴイ「銅インク」開発

作製した銅配線

物質・材料研究機構の三成剛生グループリーダーと李万里ポスドク研究員(現江南大学准教授)らは、住友金属鉱山とエヌ・イーケムキャット(東京都港区)、物材機構発ベンチャーのプリウェイズ(茨城県つくば市)と共同で、従来の3倍以上の厚みで印刷できる厚膜導電性銅インクを開発した。配線の断面積を大きくでき大電流を流せる。銀インクよりもコスト競争力が高くなる。4者で事業化を進める。

大気安定性の高い銅インクを開発した。銅粉の表面を金属錯体インクが覆って酸化を防ぐ。銅粉は粒径が100ナノ―200ナノメートル(ナノは10億分の1)と小さいため焼結温度を下げられる。200度Cで焼結でき、耐熱性プラスチックフィルム上に配線を形成できる。

実験では線幅100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の配線を作れた。配線の厚みは従来技術の3倍。電気抵抗を抑えられる。

現行の銀インクは銀が高価だった。銅は銀よりも安価だが酸化しやすい。大気安定性のめどが立ち、今後は顧客の製造プロセスに合わせた銅インクの最適化を進める。スクリーン印刷を皮切りにグラビア印刷などの対応プロセスを広げていく。

日刊工業新聞 2024年01月18日

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