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先端半導体パッケージ向け拡充、JSRが開発した「感光性絶縁材料」の効果

先端半導体パッケージ向け拡充、JSRが開発した「感光性絶縁材料」の効果

ポリイミド系の感光性絶縁材料を開発(パターン形状の例)

JSRは先端半導体パッケージ向け材料を拡充する。半導体チップと配線基板の間をつなぐ「再配線層」などに用いるポリイミド(PI)系の感光性絶縁材料を開発した。現在はフェノール系など他組成の感光性絶縁材料を手がけるが半導体製造の後工程技術が複雑化する中、ラインアップを拡充して多様なニーズに応える。顧客評価などを経て、数年後の市場投入を目指す。

PIは耐熱性や引っ張り強度といった物性が高く、絶縁膜を厚く形成できる点などが特徴。開発品はPI系樹脂を用いたポジ型の感光性絶縁材料で、伸び率45%、ガラス転移温度(TG)は310度Cの特性を示す。さらに熱膨張係数が1度C当たり43ppm(ppmは100万分の1)と、一般的な再配線層用の絶縁材料と比較しても低く抑えられている。

感光性絶縁材料は実装後も製品中に残存するため信頼性が重視される上、高解像度や反り抑制などさまざまな特性が求められる。JSRは同材料のほかレジストをはじめとする複数の実装材料を手がけており、多様化する後工程領域の要求にトータルで応える。

半導体製造では近年、前工程における回路微細化に加え、後工程のパッケージングの高密度化が注目される。足元ではインターポーザー(中継部材)を用いて複数の半導体チップと基板を接続する2・X次元(2xD)実装など、半導体メーカーの間で次世代技術の実用化に向けた開発競争が加速している。化学メーカーは微細化を支える前工程用材料の技術を後工程領域にも応用するなど、領域を跨(また)いだ技術提案を強化している。


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日刊工業新聞 2024年01月17日

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