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旭化成・双日・横河電機…「デジタル人材育成」連携組織の狙い

旭化成・双日・横河電機…「デジタル人材育成」連携組織の狙い

未来のデジタル人材の会のキックオフミーティング

共通の教育体系作成

旭化成双日、横河電機など異業種の大手9社で構成し、デジタル人材育成で連携する「未来のデジタル人材の会」が本格始動する。各社のデジタル変革(DX)の取り組みや課題などを共有する。同会の議論を通じてより良いデジタル人材育成の施策を生み出し、DXを通じた事業変革などにつなげられるようにしたい考えだ。(山岸渉)

未来のデジタル人材の会は会長の旭化成、副会長の双日と横河電機、損害保険ジャパン、ロジスティード(旧日立物流)、キリンホールディングス(HD)、リコートヨタ自動車の8社で2023年12月5日にキックオフミーティングを実施した。23年末にはロート製薬が加わり、9社となった。

旭化成デジタル共創本部DX経営推進センターデジタルタレント戦略室の秋本みつ室長は「さまざまな業界が集まることで新たな視点や発見がある。自由に議論できる10社程度が良いと声がけをしてきた」と語る。

同会の特徴は事業会社で構成されている点だ。特にデジタル人材育成に力を入れており、経営体力のある大手企業が並ぶ。ただこうしたDX先進企業も試行錯誤しながら取り組んでおり、「正解はまだない」(秋本室長)。デジタル人材育成に取り組む中での課題、将来予測される課題などを共有することで、お互いのためにもなる協調領域と捉える。

同会では各社のDX取り組み事例を共有したり、課題の解決策について意見交換などをしたりする。例えば、デジタル人材育成を目的の事業変革といった成果とどうリンクさせるのか、デジタル人材育成はどうあるべきかなど共通テーマも見え始めており、議論を深めていく考えだ。

将来的に共通の教育プログラムなどを作成し、取引先や中堅・中小企業を含む日本全体でのデジタル人材育成の拡大も見据える。

旭化成は全社員対象の5段階でレベルを認定する「DXオープンバッジ」を運用するなど、デジタル人材育成を推進している。中期経営計画では、「デジタルプロ人材」を24年度に21年度比10倍の2500人程度に増やす計画だ。デジタル人材育成を通じて事業変革による発展につなげるため、同会での議論から得られた知見などをデジタル人材育成に生かせることを期待する。

秋本室長は「2500人は通過点。当社全体が一定の知識と意欲を持つデジタル活用人材になり、それぞれの事業に合ったデジタル人材が活躍できる組織にしていきたい」と意気込む。


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