「2024問題」解決なるか…物流最適化へ広がる協業、NLJの運送スキーム活用
日野自動車子会社のネクスト・ロジスティクス・ジャパン(NLJ、東京都新宿区、梅村幸生社長)が取り組む、物流最適化に向けた協業の枠組みが広がっている。12月14日時点で出資を伴うパートナー企業が20社、出資を伴わない会員企業が21社にそれぞれ拡大した。トラック運転手の時間外労働の上限規制により輸送能力が不足する「物流の2024年問題」が間近に迫る。ダブル連結トラックや異業種の荷物混載といった、同社と協業先との取り組みが課題解決につながるかが注目される。(大原佑美子)
NLJはより少ない運転手とトラックで多くの荷物を運ぶためのオープンな枠組み・仕組みづくりを進めている。協業の具体的な形態として、NLJに資本参加しヒト・モノといった資源を共有する「パートナー企業」と、出資を伴わずに実証実験などに参加・協力する「NLJプラス」の二つがある。
このほどNLJプラスにドトールコーヒー(東京都渋谷区)やトヨタモビリティパーツ(名古屋市中村区)といった荷主企業をはじめ、アート梱包運輸(長野県東御市)、キムラユニティーなど計8社が加わり、総勢21社の枠組みに拡大した。
各社は荷物の混載や運転手・車両提供などで協力しつつ、NLJの運送スキームを活用して自社の業務やコストの最適化を図る。
NLJは18年に設立。世界最大級のダブル連結トラックの導入や異業種の荷物の混載、荷役の自動化など物流の課題解決につながる取り組みを協業先と推進している。これらと並んで、量子コンピューターを活用した物流最適化システム「NeLOSS(ネロス)」の開発も進めており、26年に外販を目指す。同システムは荷姿や重量、温度帯などが異なる荷物であっても、最適に積み込むための組み合わせを短時間で割り出し、積載量を最大化するのが特徴。発売に向け、協業先との実証などを通じて精度を高める方針だ。
NLJの梅村社長は「荷室の効率や車両の稼働率・積載率が上がればコストが下がる。幹線輸送の効率を高めて、そこで従事していた運転手を域内物流にシフトする、といったように物流をリ・デザイン(再構築)したい」と語る。
24年4月1日の時間外労働規制強化まで残り約3カ月。ただ、人手不足などの問題を抱えながらも対策しきれない事業者も多い。トラック輸送の大半を占める中小企業のサポートも課題だ。日本の物流網を維持できる仕組みが期待される。