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工業用ヒーターの「シンワバネス」買収、リケンNPRの思惑

リケンNPRは2024年2月中旬をめどに、工業用ヒーターを手がけるシンワバネス(東京都品川区)を買収する。リケンNPR子会社のリケンがシンワバネスの発行済み株式の90%を投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドから取得し、連結子会社とする。買収額は非公表。リケンは主力とする自動車内燃機関向け部品以外の事業の育成に力を入れている。シンワバネスの買収により工業用ヒーター事業の顧客層と製品ラインアップを拡充する。

シンワバネスは低温領域の中小型ヒーターが主力で、個別の設計・開発対応を強みとする。特に洗浄・成膜・エッチングといった半導体製造装置向けのヒーターでは高い市場シェアを持ち、今後も成長が見込めるとしている。

リケンは高温領域の金属系発熱体の加工やヒーターユニット、工業炉を製造する。セラミックス系発熱体も開発し、自動車や半導体製造装置向けなどに供給している。

シンワバネスの23年8月期の連結売上高は約67億円、営業利益は約9億円、当期利益は約6億円。今回の買収によるリケンNPRの24年3月期連結業績への影響は精査中としている。

リケンNPRは、経営統合したリケンと日本ピストンリング(NPR)の共同持ち株会社として10月に発足した。23年度のリケンとNPRの売上高の単純合算が1620億円となる見通しに対し、リケンNPRの24―26年度の中期経営方針では売上高1800億円、30年度に同2000億円の目標を設定している。売上高拡大に向けて、自動車内燃機関向け部品以外の領域の育成を進める。

日刊工業新聞 2023年12月28日

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