三井化学・三菱ガス化学・住友化学…半導体材料にもう一段の研究開発投資
大手化学メーカーで半導体関連の研究開発体制を拡充する動きが活発化している。三井化学や三菱ガス化学は、新たな研究開発拠点を整備。住友化学も複雑な構造の化合物開発に取り組む新組織を発足した。半導体はさらなる微細化などが進んでおり、関連材料でも研究開発の重要性が増している。化学各社はもう一段の研究開発投資に乗りだし、需要を捉える考えだ。(山岸渉)
「フォトレジストの性能をさらにブラッシュアップしたい」。住友化学の中西輝常務執行役員は、こう意気込む。このほど情報電子化学品研究所(大阪市此花区)で、複雑な構造の化合物開発に取り組む「コアマテリアル合成グループ」を立ち上げた。より川上の素材面からのニーズに対応する構えだ。
半導体は人工知能(AI)やデータセンターといった情報通信の進化を見据え、今後は微細化などによる機能の向上が見込まれている。このため半導体材料や製造工程などの高度化は必至で、こうした対応は欠かせない取り組みとなる。
東レも関係会社の東レリサーチセンター(東京都中央区)で最新装置を活用し、耐久性・信頼性の評価などを通じた研究開発の支援に力を入れている。
こうした動きを踏まえ、研究開発拠点を拡充する動きも目立つ。三菱ガス化学は、イノベーションセンターのMGCコモンズ(東京都江東区)を12月に開設。従業員らの交流を促すとともに、力を入れる半導体材料関連を含む人材育成やイノベーションの創出などに取り組む。
また、三菱ケミカルグループも中核研究拠点であるサイエンス&イノベーションセンター(横浜市青葉区)で半導体材料などの研究開発を強化。三井化学も2024年5月に半導体・実装領域の研究開発拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」の完成を予定している。
化学各社は半導体需要について、24年以降の回復と、これに向けた研究開発スピードの加速を見通す。各社は早期に研究開発体制を整え、ニーズに的確に応える姿勢で臨む。
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