試験不正拡大…ダイハツが全車種出荷停止、トヨタ・マツダ・スバルへのOEM供給も影響
ダイハツ工業とその親会社のトヨタ自動車は20日、ダイハツが国内外で生産する全車種の出荷を一時停止すると発表した。ダイハツでは4月以降に安全性を確認する試験で不正が発覚。5月から第三者委員会(貝阿彌誠委員長)による調査が進められていたが、同日に調査結果がまとめられ、新たに25の試験項目で174の不正行為が判明した。不正を確認した車種はトヨタ、マツダ、SUBARU(スバル)へOEM(相手先ブランド)供給するものも含め、64車種に上る。
ダイハツの奥平総一郎社長らが同日に都内で会見し、170を超える新たな不正が明らかになったことで「自動車メーカーとして事業を継続する上で大前提となる認証を軽視していると言われてもおかしくない。信頼を裏切った」と陳謝した。
同社では4月、認証試験に合格するためドアトリムにおいて量産車と異なる加工を行ったことが明らかになった。5月には側面衝突試験でも不正が発覚。第三者委員会の調査ではこれらに加えてエアバッグの試験において量産品と同じ「エアバッグ展開コンピューター(ECU)」が使われていなかったほか、虚偽のタイヤ空気圧を記載して認証試験を行ったなどの不正行為が判明した。
第三者委員会では、同不正の主な原因に「経営陣が過度な短期開発を推進したため」と指摘。奥平社長もこれを受け「経営の問題」との認識を示した。責任問題については「再発防止に向け道筋をつける」と当面続投する考えを示した。
親会社のトヨタでは、ダイハツの不正により、販売する22車種が影響を受ける。トヨタでは同日、該当車種の出荷停止を決めた。トヨタは小型車に強いダイハツと国内外で協業を進めてきた。特に東南アジアなど成長性の高い新興国市場を深耕していたが、同不正により信頼の低下が懸念される。トヨタの中嶋裕樹副社長は「一日も早くお客さまの心配を取り除くよう努める」とした。
トヨタでは13年以降、OEM供給車を増やしており、これらの開発がダイハツの負担となっていた可能性があるとした。
ダイハツは今後、第三者委員会やトヨタの支援を受け、再発防止や企業風土の抜本的な改革に取り組む。
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