情報系で高度人材育成へ、筑波大が始めた新制度の「おもしろい発想」
筑波大学は外国機関や企業などの外部と連携し、教育の質を高める高度情報人材育成を始めた。外国機関の研究者から大学院生が副指導や助言を受けるためのシステムを構築。修士課程学生が志望する就職先企業から、博士課程進学後のインターンシップ(就業体験)や採用の予定を取り付けるなどの工夫もする。システム情報工学研究群などにある情報系プログラムの定員を、2024年度に修士課程を計360人と従来の3割増にした後、26年度に博士課程を同3割増とする。
筑波大は近年、教育改革の多様な試行を進めている。その成果を情報系プログラムに集中的に導入する。
その一つが13の外国大学との垣根を低くし、教育研究で相互のキャンパス機能を多面的に活用する「キャンパス・イン・キャンパス」だ。参加機関のトップ研究者が筑波大生の相談に乗るポータルサイトを作り、研究課題に応じた助言を幅広く得られるようにする。産学官のコンソーシアムで学位プログラムを運営する独自の「協働大学院」も活用する。
また指導教員を一人に絞らない副指導制は、情報学を社会科学系や医学系など他分野に応用する上で有効とみる。複数分野を学んだ学生が、指導教員に異なる切り口を提供する「リバースメンター」も他部局で手がけている。これらの手法を情報系で適用できるよう調整する。
高度人材育成では博士進学者数を増やすことが課題の一つだ。そのため就職と進学で迷う修士学生への対応として、博士修了後の就職を前提とした採用方式を企業と検討する。これらの支援策が功を奏すると見て、博士の定員は26年度に従来比3割増の69人にする。
筑波大学は伝統的な国立大学と異なる新構想大学として、50年前に開学。学際的な組織運営を実施し、情報科目を全学必修とするなど独特の取り組みをしてきた。