半導体業界の変化をポジティブに捉える東京エレクトロン。勝算は?

河合社長インタビュー「単純に規模拡大を目的としたM&Aには慎重だ」

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河合社長
 変革期を迎える半導体業界にあって製造装置メーカーも進化を求められている。国内トップの東京エレクトロンは、1月に河合利樹副社長が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任。先端技術の開発推進、世代の古いレガシー技術の改良などをポイントに掲げ、成長を目指す。河合社長に現状の半導体業界をどうみているかや、同社の今後の戦略などについて聞いた。

 ―M&A(買収・合併)の活発化、モノのインターネット(IoT)の普及拡大など半導体業界を取り巻く環境が大きく変化しています。
 「中長期の視点で注目しているのはIoTだ。あらゆるモノがネットに接続されることで半導体市場は確実に伸び、装置市場も成長する。一方、技術的には(半導体の集積密度が2年ごとに倍増するとする)『ムーアの法則』を維持するための技術が高度化していることに加え、それ以外にも多様な新技術が求められるようになった」

 ―そうした変化をどう捉えていますか。
 「非常にポジティブにみている。顧客である半導体メーカーの要求が高度化し多様化する中、幅広い種類の装置を提供できる当社の強みを生かせる。事業拡大のチャンスだ」

 ―“果実”をもぎ取るための体制は。
 「当社は多様な技術を有している。それら個々の技術を融合させるため、開発と生産の両部隊を一元化した。これまでのプロダクト目線を大事にしながら、さらに市場目線も持てるようにする。これによって次世代装置のボトルネックを解消し、顧客に先回りして提案する。装置としてはALD(原子層堆積法)成膜、エッチング、洗浄などを重視していく」

 ―IoTの普及拡大により、古い世代の製造装置へのニーズも高まります。
 「(センサーやアナログ半導体などの)コモディティー(汎用品)市場も伸びる見通しで、顧客からは工場に設置済みの200ミリメートルウエハー向け装置の生産効率を高め、延命させたいというニーズが増えている。対応のためアフターサービスを中心とする『フィールドソリューション(FS)』事業を積極化する。また当社もIoT技術を活用して客先の装置を監視する『テレメトリックス』をスタートさせた。稼働率が高まるよう支援し、装置の価値を最大化させていく」

 ―M&Aに対する考え方は。
 「単純に規模拡大を目的としたM&Aには慎重だ。一方、当社に足りない技術を補うための案件は前向きに検討していく」

【記者の目・利益へのこだわり不可欠】
 米アプライドマテリアルズとの経営統合破談を受け、東京エレクでは単独での成長に向けた中期経営計画が進行中。同計画を前社長の東哲郎相談役と練り上げた河合氏の下、社内の士気は高い。一方、国内は屈指の営業利益率を誇るが海外トップ勢との比較では見劣りする。成長資金確保のためにも、利益への強いこだわりが不可欠。
(聞き手=後藤信之)

日刊工業新聞2016年3月16日電機・電子部品面

COMMENT

後藤信之
編集局第一産業部
デスク

河合社長が重点テーマの一つとして掲げる「フィールドソリューション(FS)」は、長期にわたり安定収益が見込める期待の事業だ。同事業の15年度の売上高見通しは1700億円。これを20年度に2000億円に引き上げる計画を掲げている。同様の事業はアプライドが先行して展開しており、東京エレクは周回遅れの状態。ただ世界の半導体工場で東京エレクの装置が約5万7000台稼働しており、その数はアプライドに劣らない。潜在力を活かし成長を実現してほしい。

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