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外航海運の脱炭素化のカギ、日本郵船が建造する世界初「アンモニア燃料タグボート」の全容

外航海運の脱炭素化のカギ、日本郵船が建造する世界初「アンモニア燃料タグボート」の全容

世界初のアンモニア燃料タグボートの建造状況を初公開した

日本郵船は14日、世界初となるアンモニア燃料タグボート「A―タグ」の建造状況を京浜ドック追浜工場(神奈川県横須賀市)で初公開した。液化天然ガス(LNG)燃料タグボートを半分に切断してエンジンや燃料タンクを入れ替える大工事だ。2024年6月の完成を目指す。燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアは、外航海運の脱炭素化のカギとなる。船の改造を通じてアンモニア燃料対応技術の完成度を高め、普及を加速させる。(梶原洵子)

京浜ドック追浜工場の第2船台に置かれたLNG燃料タグボート「魁(さきがけ)」は、船首から30―40%が切り取られ、LNG用タンクやエンジンがすっかり取り除かれていた。「ここまで大きな改造はなかなかない」と日本郵船工務グループの野中健太朗氏は話す。11月末からLNG設備撤去を開始し「順調に進んでいる」(京浜ドックの原民樹常務)という。24年2月以降のエンジン室や燃料供給装置を備えたプラント室の設置が工事のヤマ場だ。その後、船首をつなげ、塗装などを行い完成する。

新造ではなく改造とした理由は「船の胴体を再利用し、工期を短縮する」(日本郵船燃料炭・アンモニアグループの川越祥樹アンモニア燃料船開発チーム長)ため。アンモニア燃料船開発は同社の脱炭素化の取り組みの一丁目一番地で、世界初の座は譲れない。

船首部分

A―タグに続き、26年度に外航船を投入。30年までにもう1隻を加え3隻とし、31―33年に12隻の完成を目指す。「30年代初めに発注が始まらないと、50年のネット・ゼロには間に合わない」(同)。

また、アンモニア燃料船に改造可能なアンモニアレディー船の開発や、ほかの既存LNG船の改造を検討する上でも、今回得られる知見は役に立つ。

アジア勢はLNG船で低温燃料を扱う知見を蓄積しており、欧州勢に先行している。「技術的にレディー(準備完了)なことを世界に示したい」(同社工務グループの松本卓也グループ長代理)といい、次世代燃料でリードを狙う。

日刊工業新聞 2023年12月15日

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