5G・防衛・生成AI…NECの5カ年中計でうまくいっているもの・苦労しているもの
NECの森田隆之社長(写真)は2025年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画の前半戦について「順調に来ている」と総括した。中計で掲げる経営目標の大枠に変更はないが、事業の中身は明暗があり、「うまくいっているもの、苦労しているものがある」と打ち明ける。
苦戦したのは第5世代通信(5G)基地局事業。通信事業者の5G投資について「国内外とも相当遅く、4Gに比べ投資のペースは3分の1程度」と目算外れに言及する。
5G事業の調整後営業損益は23年度に100億円の赤字を予想するが、構造改革効果などで収益は着実に改善。24年度は黒字転換を見込む。
一方、好材料は防衛事業での大型商談の獲得。防衛事業は政府予算の大幅増を商機ととらえ、新棟建設などに200億円を投じることを決めた。人員もテレコム部隊からの移行を中心に25年度までに1000人増員する。
もう一つは生成人工知能(AI)ビジネス。スーパーコンピューターへの100億円の先行投資が功を奏し、国内生成AI市場では先陣を切る。森田社長がこだわるのは「市場変化への迅速な対応力」。後半戦も勝ち筋をたぐり寄せる覚悟だ。
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日刊工業新聞 2023年12月15日