大型客船、ようやく引き渡し。三菱重工は知見を次ぎに生かせるか

2番船の納期は協議中。すでに累損1800億円、さらに膨らむ可能性も

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「アイーダ・プリマ」
 三菱重工業は14日、長崎造船所香焼工場(長崎市)で建造していた欧アイーダ・クルーズ向け大型客船(約12万5000総トン、約3300人乗り)の1番船「アイーダ・プリマ」を引き渡したと発表した。当初2015年3月だった契約納期を3度延期。度重なる引き渡しの遅延で混乱した1番船の建造も、一段落を迎えた。ただ、3月を予定していた2番船の納期は継続協議中で、時期についての明言は避けた。

 同日に船上で引き渡し式を開き、船主側からはコスタ・グループのマイケル・タム社長らが参加したほか、三菱重工からは宮永俊一社長と鯨井洋一取締役副社長執行役員が出席。宮永社長は「かつてない多くの新機軸を搭載した次世代客船の建造に伴う課題を克服し完成した」と述べた。

 三菱重工は11年にアイーダから大型客船2隻を受注。受注額は1000億円規模とみられるが、設計変更などで大幅に建造が遅れた。15年10―12月期にも客船事業に関連し、221億円の特別損失を計上。損失は累計1800億円に達した。

 2番船は1番船の建造で得た知見やノウハウを活用。全体工程の最適化と工法の改善で建造を加速する。ただ、2番船の納期は当初3月からずれ込むのは濃厚。宮永社長も2月4日の決算説明会で「16年度内に(工事が)終わると思っている」としており、追加損失の可能性は依然としてくすぶる。

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日刊工業新聞2016年3月15日3面

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明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

「MRJ」、国産基幹ロケット「H2A」、純国産戦闘機につながるステルス研究機「先進技術実証機(X―2)」など国家的なプロジェクトで先導的な役割を果たしている三菱重工だが、「造船」は鬼門なのか。

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