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ビジネスジェット専用で需要取り込む…双日が空港施設運営に参入

ビジネスジェット専用で需要取り込む…双日が空港施設運営に参入

双日グループが扱うビジネスジェット

双日はビジネスジェット用ターミナルの開発・運営事業に参入する方針だ。定期便利用を中心に設計されている国内空港内に車寄せやラウンジなど専用施設を建設し、ビジネスジェットの利便性を高める。国内外で展開する運航事業との一体展開で、出入国手続きの時間短縮や柔軟なフライト計画を推進。欧米では移動オフィスとして企業経営層の重要ツールとなっており、ビジネスジェットの国内需要を取り込む。空港立地を考慮しながら数年以内の参入を目指す。

双日は空港の意向やアクセスも踏まえ、専用ターミナルの建設先の選定を進める。国内ではビジネスジェットの離着陸ができる空港はあるが、定期便利用が優先され、乗客や機体の動線、ラウンジ提供などで利便性を欠くことが少なくないとされる。まずは一つの空港で専用施設を整備し、他空港への横展開を検討する。

双日は2005年に参入したビジネスジェットの運航管理事業との相乗効果も狙う。近年は米国での運航支援会社設立や国内運航業のジャプコン(岡山市南区)の買収で事業基盤を拡充しており、チャーター機の提供と専用ターミナルの連携でサービス向上を図る。

また、数年以内をめどにアジア圏の2―3カ所で空港運営に参画することも目指す。現在は熊本国際空港(熊本県益城町)や太平洋の島しょ国パラオのパラオ国際空港などの運営に参画しており、拡大を見込む新興国の定期便やビジネスジェットの利用需要も取り込む。

国土交通省は国際的な企業活動のアクセス向上に向けて運航規制緩和によるビジネスジェット利用を推進。22年の国内発着回数は1万7763回と、10年前に比べて5割多い。25年の大阪・関西万博を契機としたプライベートジェット需要の拡大を見据えて神戸空港(神戸市中央区)が施設を整備する動きもある。

一方、国内のビジネスジェット保有台数は約60機とされ、米国の約2万機、ドイツや英国の数百機に比べ少ない。企業活動の重要ツールとして需要拡大の余地がある。


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日刊工業新聞 2023年12月08日

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