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半導体の国際学会「ISSCC」投稿論文数が過去最多、国別の採択動向は?

2024年2月に米サンフランシスコで開かれる半導体分野の権威ある国際学会、「国際固体素子回路会議」(ISSCC)の投稿論文数が過去最多となったことが分かった。中国や韓国を中心とするアジアからの投稿が急増し、同論文数は873件と23年比39%増となった。これに伴って採択論文数も同18%増の234件に増えた。一方、日本の採択論文数は同1件増の11件と微増にとどまった。

米ISSCCは米電気電子学会(IEEE)が主催する半導体集積回路分野で世界最高峰の学会。「半導体のオリンピック」とも称される。

採択論文は大学の比率が7割超と多いが、聴衆の約6割が企業で、最先端の半導体チップの発表に世界中が注目する。

24年は欧州、アジア、北米ともに投稿論文数が増え、特にアジアは23年比165件増の556件と大幅増。そのため採択論文数も増やしたものの、結果的に採択率は過去最低の26・8%となり、「史上最も激しい競争となった」とISSCCのアジア委員を務める信州大学の宮地幸祐准教授は語る。

激戦をくぐり抜けた採択論文の63%がアジア発だ。国別では香港やマカオを含む中国が69件と、2位の米国(52件)を大きく引き離した。韓国は過去最多の49件まで大幅に伸ばし米国に迫った。台湾は16件。日本も11件と健闘したが、この10年でみると半分以下に落ち込んでいる。

日本からはルネサスエレクトロニクス東京工業大学(筆頭著者)がそれぞれ2件発表する。そのほかNTT村田製作所産業技術総合研究所、信州大、慶応義塾大学などが発表を予定。領域別ではメモリー分野が4件と引き続き強い。

24年のテーマは「より良い世界」(ベター・ワールド)。「暮らしをより良く導くヘルスケアやサステナビリティー、人々のつながりなどに焦点を当てた企画が行われる」(宮地准教授)。

基調講演では、台湾積体電路製造(TSMC)や米エヌビディアなどから最新のテクノロジー動向が紹介される。


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日刊工業新聞 2023年12月07日

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