世界で戦う京セラ「携帯」。全方位から米国集中に戦略転換

2期連続赤字に。高価格帯で勝負

 京セラは携帯電話(スマートフォンを含む)事業の海外戦略を見直し、米国に経営資源を集中する。2014年度から販売地域を拡大してきた欧州、中南米で苦戦しており、シェアが高い米国で高価格帯機種を拡販する戦略に転換する。

 携帯電話をメーンとする通信機器関連事業は、15年度に2期連続の営業赤字となる見通し。現状維持の年販1000万台規模でも安定的に利益が出る体制とし、早期の黒字化を目指す。

 米国では販売台数シェアで4位グループに属し、競争力を維持している。今後は低価格帯スマホの販売を絞り込む一方、他社と差別化できる高耐久性スマホを拡販する。高耐久性スマホの最上位機種は、米国の大手通信4社のうちTモバイルUSには提供しておらず、今後も伸ばせる余地が大きいとみる。

 京セラは14年度から米国以外にも海外展開を積極化。フランス、ドイツ、ペルー、チリ、メキシコ、コロンビアに進出した。ただ、今後は「積極的な拡販策や新たな国・地域への参入は控える」(京セラ幹部)方針だ。

 京セラの通信機器関連事業の15年度の売上高は1700億円(前年度比16・8%減)、営業損益は78億円の赤字(前年度は202億円の赤字)の見通し。同事業の国内外の生産拠点5カ所を集約する方針も示している。 

日刊工業新聞2016年3月14日1面
日刊工業新聞社電子版

後藤 信之

後藤 信之
03月15日
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シャープ、ソニーなど日本の携帯電話端末メーカーが軒並み海外展開に苦戦する中、京セラは唯一健闘し14年度の販売台数は1300万台に達した。しかしスマートフォン市場の成長鈍化、中国メーカーの台頭という逆風を受け、15年度の販売台数は1000万台弱まで縮小する見通しとなった。それでも他社と差別化できる高耐久性スマホでグローバルニッチトップを目指す基本戦略の筋は悪くない。15年には業界で初めて海水でも完全防水を実現した新モデルを投入しており、技術的優位を保っている。今はいったん屈んで、次の跳躍の時に備えてほしい。
(日刊工業新聞社編集局第一産業部・後藤信之)

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