ニュースイッチ

最大5倍のエラー削減、米IBMが133量子ビットプロセッサー来年投入

最大5倍のエラー削減、米IBMが133量子ビットプロセッサー来年投入

133量子ビットの量子プロセッサー「ヘロン」

米IBMは4日(米国時間)、米ニューヨーク市で開いた年次イベントで、拡張性に優れたモジュール方式による新しいアーキテクチャー(設計概念)を採用した133量子ビットの量子プロセッサー「ヘロン」を公開した。127量子ビットのIBM製の量子プロセッサー「イーグル」と比較して最大5倍のエラー削減と、同社の量子プロセッサーの中で最も低いエラー率を実現した。ヘロンは2024年中に量子システム群に追加する予定。

第1弾として、ヘロン3個(計399量子ビット)を搭載したモジュール式の量子コンピューター「IBMクオンタム・システム・ツー」を米ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツに設置。このほど稼働した。

イベントでは量子プロセッサーやコンピュターの開発ロードマップ(工程表)を33年まで拡張し、ゲート操作(量子状態の操作)の質を大幅に向上させる新たな目標を掲げた。「高度なエラー訂正システムに向けて規模拡大と品質向上を図るべく、ゲート操作の改善を優先する」(IBM)計画だ。

4日、計算科学者が量子回路を簡単に扱える新機能を搭載した量子プログラミングソフトウエア「キスキット1・0」も発表した。「クラウドやオンプレミス(自社保有)を問わず、さまざまな環境で古典計算と量子計算を統合したワークフローを構築、展開、実行できるようになる」(IBM)。

このほか、人工知能(AI)の次世代プラットフォーム(基盤)「ワトソンx」を活用した量子コード開発の自動化と、量子回路の最適化を可能にする生成AIモデルも披露した。

日刊工業新聞 2023年12月06日

編集部のおすすめ