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北陸新幹線開業から1年。乗客数3倍に増えたがもっと伸ばし延ばしたい

北陸新幹線開業から1年。乗客数3倍に増えたがもっと伸ばし延ばしたい

新幹線開通で北陸の乗客が増加した

 金沢―長野駅間を結ぶ北陸新幹線が、14日で開通から1年を迎える。JR東日本、西日本が共同運行し、首都圏―北陸間の利便性が飛躍的に高まった。JR西日本管内では、開通前の在来線と比べて乗客数は約3倍に増加。一方、早期延伸が望まれている金沢―大阪間はルートが未定。JR西日本にとっては、延伸の実現まで関西と北陸の結び付きの維持に取り組み続ける必要がある。

地域活性化は達成したのか


 JR西日本は2017年度までの中期経営計画でも北陸新幹線による地域活性化を掲げている。現在、1日当たりの平均利用者数は約2万6000人。開通目的の一つが北陸―首都圏の旅客流動の拡大。速達タイプの「かがやき」は、金沢―東京間を最短で2時間28分で結ぶ。従来の在来線特急と上越新幹線の乗り継ぎに比べ、金沢―東京間と富山―東京間ともに1時間以上の短縮となり、北陸―首都圏間の移動が迅速になった。

 加えて「懸念された関西―北陸間も前年を上回っている」(真鍋精志JR西日本社長)。大阪―金沢を結ぶ在来線特急「サンダーバード」の利用者は前年より約5%増加している。北陸新幹線に乗り継ぐ乗客の需要を取り込めた。真鍋社長は「北陸新幹線に乗って長野まで旅行しようという人が増えている」と成長要因を分析する。

延伸ルート未定


 一方、真鍋社長は一刻も早い大阪までの延伸を主張する。複数のルート候補が議論されているが、福井県・小浜と京都を通り大阪へ至るルートが最適だとしている。

 関西―北陸間を短距離で結ぶと同時に、観光需要の大きい京都の乗降を確保したい考えだ。訪日外国人観光客が増加していることもあり、京都・大阪への観光需要をさらに取り込みやすくするために迅速な整備を希望している。

 北陸から首都圏への利便性が高まる一方、北陸から関西への旅客流動低下の懸念は残る。JR西日本は関西と北陸のつながりを強めるため、自治体や経済団体などの交流会を開いている。

関西と北陸の相互流動は


 一極集中の解消と地方活性化のためには、距離の近い関西と北陸の相互流動が望まれる。大阪までの路線が開通するまで、乗客の負担を軽くしながら在来線と連動する工夫が求められる。
(文=大阪・安藤光恵)
日刊工業新聞2016年3月14日 建設・エネルギー・生活面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
北陸新幹線開通後、飯山、富山、金沢に行きました。金沢は国内外の観光客で溢れかえっていましたが、富山、飯山は観光客というより地元の人が多い印象でした。 3月26日には北海道新幹線が開通します。主要駅だけでなく、沿線全体での地元活性化ができるようになるのか、両新幹線の今後に注目していきたいです。

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